【ブンデス現地コラム】5戦連発で株価急上昇中のブラント。19歳の新鋭がEUROの秘密兵器に!?

2016年04月29日 中野吉之伴

「こんなに調子が良かったことは今までにない」と本人も驚く。

主戦場は左ウイング。カットンからのシュートや前線への飛び出しを得意とするアタッカーだ。(C)Getty Images

 ブンデスリーガは残すところあと3節。おそらく今節、バイエルンの優勝が決まるだろう。そしてファンの興味はすでに欧州カップ戦の出場権争い、残留争いに移り始めている。

 チャンピオンズ・リーグの出場権は1~4位に与えられ、1位バイエルンと2位ドルトムントは確定。残る2枠を巡る争いで、一歩リードしているのが3位レバークーゼンだ。

 26節のハンブルク戦から5連勝を飾ると、31節のシャルケ戦ではその勢いが本物であることを証明する。2点のリードを許しながら、54分、56分、60分と立て続けにゴールを奪い、6分間で逆転に成功。勝利を確信していたシャルケ・サポーターを呆然とさせた。

 飛ぶ鳥を落とす勢いのレバークーゼンで、誰よりも輝いているのが19歳のMFユリアン・ブラントだ。シャルケ戦でも反撃の狼煙を上げる1点目を奪い、このゴールを含めて現在5試合連続得点中。まさに絶好調で、「こんなに調子が良かったことは今までないよ」とブラント本人も驚くほどだ。

 開幕当初のブラントはベンチスタートが大半で、チームの調子もいまひとつだった。内容は悪くないのに、勝てない。そんな悪循環に陥っていたのだ。エースのFWハビエル・エルナンデスこそコンスタントにゴールを重ねていたものの、相手のマークが厳しくなると徐々に失速。さらにパートナーとして機能していたシュテファン・キースリンクが負傷離脱すると、まったく得点の香りがしなくなってしまった。

 そんなチームを蘇らせたのが、ブラントだ。並外れた俊足の持ち主で、以前からトップスピードでもブレない技術レベルの高さに定評があったが、リーグ終盤戦に入って先発出場の機会を与えられると本格ブレイクを果たす。ミスを怖れない思い切りの良いプレーで、チームを活性化させた。

「ユリアンは安定して高いレベルのプレーを見せている。これは普通のことじゃないよ。ボールを持った時に正しい判断を下せる選手で、ゴール前でのプレー精度は高いし、チームプレーでもしっかりと貢献できる。フィジカル能力にも優れているし、謙虚でうぬぼれることもない。彼のようなクオリティーを持った選手は多くはない」

 覚醒した愛弟子を絶賛するのは、ロジャー・シュミット監督だ。彼の言うとおり、これだけ活躍しているにもかかわらず、ブラント本人は「大事なのは調子を崩さずに続けていくこと」と決して謙虚さを失わない。こうした姿勢は若手選手が成長していくうえで、不可欠な要素だ。

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