【ブンデス現地コラム】急浮上したホッフェンハイム。28歳の青年監督、ナーゲルスマンは何をもたらしたか?

2016年04月15日 中野吉之伴

入念な準備があったからこそ、柔軟なシステム変更が可能に。

残留圏内の14位に浮上したホッフェンハイム。直近の4試合は負けなしと好調ぶりが際立つ。(C)Getty Images

 一時は2部降格が有力視されていたホッフェンハイムが急浮上している。29節には残留争いのライバルである17位フランクフルトとの直接対決に2-0で勝利。2部3位との入れ替え戦に臨む16位アウクスブルクとの勝点差を3に広げ、14位にジャンプアップした。

 最大の殊勲者は2月からチームを率いる28歳の青年監督、ユリアン・ナーゲルスマンだろう。就任後の9試合で獲得した勝点は「17」。これは前任者のマルクス・ギスドル(1~10節)、フーブ・ステフェンス(11~20節)のふたりが稼いだ勝点の合計(14)より大きい。

 ここまでチームが劇的に変わった要因はどこにあるだろうか。そのひとつがナーゲルスマンによる柔軟な戦術対応だ。例えば、28節のケルン戦。キックオフ時は3-4-3のシステムでスタートしたが、ケルンがアンソニー・モデストを1トップに置く4-2-3-1を採用してきたのを見ると、布陣をすぐさま変更。3バックの右で起用されていたトビアス・シュトロブルを中盤に上げ、セバスティアン・ルディとダブルボランチを組ませた。

 この采配により中盤の数的不利が解消され、全体のバランスが向上。効果的な攻撃を繰り出せるようにもなった。69分に被弾するも、2分後にはフィリップ・オクスを投入してシステムを4-3-3に変更してさらに攻撃の圧力を強める。そして、終了間際の91分にケビン・フォラントが値千金の同点ゴールを決め、1-1のドローに持ち込んだ。

 監督の采配が的中したという事実以上に、評価すべきはシステム変更の意図がチーム全体にスムーズに伝わっている点だ。ぶっつけ本番ではなく、トレーニングの段階から入念に準備していたからこそ、選手たちも対応できたのだろう。
 

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