【ブンデス現地コラム】シュミット監督による“異色の組織作り”がマインツ好調の要因。チーム全員で雪山登山も!?

2016年04月08日 中野吉之伴

後半戦は両SBに手を加え、守備の安定を図る。

就任2年目のシュミット監督。走る意識を植え付け、チームを躍進に導く。(C)Getty Images

 マインツの勢いは本物だ。28節を消化したブンデスリーガでヨーロッパリーグ出場圏内の6位。資金力やタレントに恵まれているわけではない。それでも、シャルケやヴォルフスブルクといった強豪より上の順位につけているという事実が、彼らのチーム力の高さを物語っている。

 その強さの秘密はどこにあるのだろうか。ドイツ・メディアが頻繁に取り上げるのは、チームの総走行距離。1試合平均118.4キロはリーグトップで、実際マインツの選手はよく走る。

 だが走るだけで勝てるのなら、どのチームも苦労はしない。今の躍進を支えているのは、マルティン・シュミット監督による計画的かつ論理的な組織作りだ。

 就任2年目のスイス人指揮官がまず着手したのは、選手全員に「走り続ける意識を植え付ける」ことだった。どれだけ実績があろうとも、コンディションに不安を抱えていたり、試合中に足が止まる選手は起用しなかった。

 前半戦は全体のバランスやプレーの効率性を欠く試合があったものの、不慣れなCF起用に応えた武藤嘉紀の活躍もあり、8位と好位置で折り返した。

 迎えた後半戦、シュミット監督の計画は次の段階へと移行。敵に攻撃の起点を作られがちだった両SBに手を加えたのだ。「左」にはピエール・ベングドソンに代わって1対1に強いうえ激しい上下動が可能なガエタン・ビュスマン、「右」はダニエル・ブロジンスキに代わって冬の移籍市場で獲得したジュリオ・ドナーティを起用。ふたりの抜擢により守備が安定し、簡単に崩されるシーンが激減した。

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