【日本代表】金崎夢生、清武弘嗣、森重真人、西川周作…最終予選の鍵を握る「大分出身カルテット」が育った背景とは?

2016年03月30日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

2次予選最後の瞬間を全員がピッチ上で迎える。「大分の皆さんが喜んでくれたら嬉しい」と西川。

2次予選の最終シリア戦、試合終了の瞬間をピッチ上で迎えた清武(左上)、金崎(右上)、森重(左下)、西川(右下)。

 今回のワールドカップ・アジア2次予選の2連戦で、金崎夢生、清武弘嗣、森重真人、西川周作の『大分トリニータ出身カルテット』が全員先発としてピッチに立った。
 
 そして3月29日のシリア戦では、西川と森重がフル出場し、清武と金崎が途中から交代で登場。試合終了の瞬間を、4人はピッチ上で揃って迎えた。
 
【W杯アジア2次予選第8戦・PHOTOハイライト】 日本 5-0 シリア(2016年3月29日)

 試合終盤、再三にわたってビッグセーブを連発して無失点勝利に貢献した西川は、小さく頷いて喜んだ。
 
「大分を応援してくださる皆さんが喜んでくれたら嬉しい。トリニータには頑張ってもらいたいし、そのためにも自分のできる限りのプレーを見せていければと思っている」
 
 Jリーグ史上に残る『奇跡』として語り継がれる、2008年の大分のナビスコカップ優勝。そのシーズン、4人はトップチームに登録されていた。
 
 その後の財政危機の発覚とJ2降格に伴い、09年のオフに揃って移籍を決断。それぞれ多くの経験を積み、現在、金崎は鹿島、西川は浦和、森重はFC東京、清武はハノーファーで、チームの中心的存在として活躍している。さらに今度は、日本代表でも欠かせぬ存在になろうとしているのだ。
 
 彼らの共通点は高卒(ユースからの昇格組を含む)であり、当時大分を率いていたペリクレス・シャムスカ監督の下、ルーキーイヤーから積極的に起用され、2年目にはレギュラーの座を掴んでいることだ。
 
 彼らが急激な飛躍を遂げられたのは、いったいなぜか?
 
 当時の大分の強化部長を務めていた原靖氏(現・清水スタッフ、前・清水強化部長)は、「バランスとタイミング」が合致したからだと振り返る。
 
「まず、チームの年齢バランスが良かった。ベテラン、中堅、若手。良いお手本が揃っていて、若手は彼らからいろいろなことを学び取っていった。2トップのウェズレイと高松大樹がまさに前線からチームを牽引し、縁の下の力持ち的な鈴木慎吾がいて、さらに高橋大輔、藤田義明、深谷友基と性格も良くてハートも熱い個性的な中堅がいて、森重、夢生、周作、それに清武がいた。上がしっかりしていたから、若手は伸び伸びプレーできていたのだと思う」
 
 

次ページ金崎が明かす人生を変えた“強行出場”。「気持ちの込もったゴールを奪えて、その後につなげられた」。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事