【イタリア代表】強国相手でもコンテ監督は「4-2-4」を貫くのか? ベルナルデスキ初招集などで23人枠争いも激化

2016年03月23日 片野道郎

中盤とウイングの人選が大きなポイントなる。

セリエAでの活躍ぶりが評価され、初招集されたベルナルデスキ(左)とジョルジーニョ(右)。EUROに向けた「ラストチャンス」でアピールできるか。(C)Getty Images

 6月のEURO2016に向けた最後の国際Aマッチウィークでイタリアは、スペイン(3月24日/会場ウディネ)、ドイツ(3月29日/会場ミュンヘン)という格上の強豪2か国と強化試合を戦う。
 
 昨年10月まで続いた予選は、結果的に1位抜け。とはいえ、クロアチアを除くと明らかに力の劣る格下(ノルウェー、アゼルバイジャン、マルタ、ブルガリア)を相手にしながら、システムもメンバーも固まらないまま試行錯誤が続いた。本番を目前に控えた現在もまだ、チームとしてのアイデンティティーが完全に確立されたとは言えない状態だ。
 
 それを誰よりも自覚しているアントニオ・コンテ監督(EUROを最後に退任が決定。チェルシー行きが濃厚)は、明らかに力の上回る相手に正面からぶつかるこの2試合を通して、メンバーをふるいにかけつつ、システムを含めたチームの最終形を固めたいと考えている。
 
 27人という大所帯となった招集メンバーの顔ぶれにも、その意図ははっきりと表われている。MFチアゴ・モッタ(パリSG)を呼び戻した(コンテ政権になって唯一招集された2014年10月は怪我で辞退)ほか、ブラジル出身のMFジョルジーニョ(ナポリ)とウイングの新星フェデリコ・ベルナルデスキ(フィオレンティーナ)を初招集し、さらに昨年に故障離脱をめぐる確執で一度は招集リストから外したロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)に声をかけた。
 
 クラウディオ・マルキージオ(ユベントス)とマルコ・ヴェッラッティ(パリSG)を故障、アンドレア・ピルロ(ニューヨーク・シティ)とダニエレ・デ・ロッシ(ローマ)をコンディション不良で欠いた中盤、そしてベルナルデスキとインシーニェが23人枠争いに入ってきたウイングが、今回の人選の大きなポイントになっているのは明らかだ。
 
 コンテは2014年夏の就任から昨年3月まで、3-5-2を基本システムに据えて戦ってきた。しかし、4-3-3を経て10月からは4-2-4(守備の局面では4-4-2)に切り替えるなど、まだシステムの最終形が定まっていない状況だ。これはいずれのシステムも戦力と戦術の両面で弱点を抱えており、落とし所の見極めがついていないためだろう。
 
 コンテが自らの戦術的アイデンティティーとしているのは、2トップと2ウイングの4人を前線に送り込んで敵4バックと4対4の関係を作り、そこから予め決められたパターン攻撃でフィニッシュに繋げるという攻撃メカニズム。当初3-5-2を基本システムとしたのは、ユベントス時代にそうしていたように、攻撃の局面で両ウイングバックを高い位置まで進出させることで、この4対4の形を作ろうという狙いがあったからだ。

次ページ各システムが戦術的な弱点を抱える中でどこに落としどころを?

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