ミラン番記者の現地発・本田圭佑「本田と同じ“態度”を他の選手も取れたなら……」

2016年03月23日 マルコ・パソット

自らチャンスを手放してしまったミランに、再浮上の目はない。

全選手が同じ姿勢で練習や試合に取り組まなければ、チームは安定した強さを得られず、有用な選手ばかりが疲弊していく。 (C) Alberto LINGRIA

 最終的な確認が必要ならば、ここではっきりさせておこう。
 
 今シーズンのミランは「6位」のチームだ。
 
 一番重要な、ここぞという時にも調子を上げることができなかったし、他のチームが躓いたことで順位を逆転する格好のチャンスがあった時にも、それモノにできなかった。9試合の連続無敗記録も、結局はあまり役には立たなかった……。
 
【試合レポート】ミラン 1-ラツィオ
 
 残り2か月での目標は、コッパ・イタリア優勝――ユベントスが相手ではかなり難しいだろうが……――と、ヨーロッパリーグ出場の最後の砦、つまり現在の6位の座を死守することだ。
 
 直近の3試合(1敗2分け)を客観的に分析する限り、ミランがこの先、もう一度盛り返すことはまずないだろう。
 
 おまけに、オーナーのシルビオ・ベルルスコーニは、チームを落ち着かせるどころか、相変わらず不安を煽るようなことばかりしている。
 
「(監督のシニシャ・)ミハイロビッチが落ち着いて仕事に専念できるようにする。そうすれば、最後には結果が出るはずだ」と語ったその翌日には、「今シーズンのミランのプレーにはがっかりさせられる」などと言い出す始末。どう考えても、チームの助けにはなっていない。
 
 そのミハイロビッチは少し前、FWに対する不満をぶちまけた。もちろん、期待外れだったのは攻撃陣だけではないが、それでも彼らは名指しで文句を言われても仕方がないところがある。
 
 まず、ミランのFWは怪我が多く、コンディションの好不調の波も大きい。持続的にチームに貢献しているのは、カルロス・バッカだけだ。
 
 そしてそれ以上に問題なのが、彼らの"態度"である。本田圭佑が見せるような試合に対する姿勢を、全員が共有できていない。そのことは、もう何度もこのコラムで繰り返してきたが、最近ではミハイロビッチもこう強調している。
 
「本田はいつも懸命に練習していて、取るべき態度を誤ることはない」
 
 ミハイロビッチという人物を知る限り、これは彼の最上級の賛辞である。
 
 態度――。そう、まさにこの言葉が、今のミランのキーワードだ。多くの選手は、このクラブの一員に相応しい態度が示せていない。
 
 例えば? 最も顕著なのが、マリオ・バロテッリだ。彼は明確なミッションを持って、リバプールから持って戻ってきたはずだった。クラブで、そして代表チームで主役に返り咲くことだ。
 
 そんな目標があるというのに、彼からは十分な闘志が感じられない。怪我が治ってピッチに戻ったマリオのプレーは、ほぼ毎回、無気力さに満ちている。足取りは重く、見る者をイラつかせる……。
 
 そんな彼に対し、ミハイロビッチは公の場であろうと構わず叱責し、副会長のアドリアーノ・ガッリアーニも厳しいコメントを繰り返してきたが、これまでのところ(いつものように)ほとんど効果はないようだ。

次ページ指揮官が称賛する本田だが、彼も別の大きな問題を抱えている。

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