【ドイツ代表】熟成させてきた戦い方にどれだけバリエーションを加えられるか。ゲッツェの奮起にも期待!

2016年03月23日 中野吉之伴

予選の不安定な戦いぶりに危機感を隠さない世界チャンピオン。

26節終了現在(全34節)、トルコ・シュペルリギの首位を走るベジクタシュにおいて、ゴメスはリーグ得点ランクトップの19ゴールを挙げている。 (C) Getty Images

 現時点でEURO2016におけるドイツ代表は、優勝候補のひとつではあるが、絶対的な存在ではない。
 
 ブラジル・ワールドカップ優勝後、フィリップ・ラーム、ミロスラフ・クローゼ、ペア・メルテザッカーの引退、そして数多くの負傷者の影響もあり、予選では不安定な戦いが続いた。
 
 最終的にはグループ首位で突破を決めたものの、圧倒的な力を感じさせることはできず、サミ・ケディラ(ユベントス)は「今のままでは、本大会で優勝できない」と自チームに対して警鐘を鳴らしている。
 
 強豪であり、永遠のライバルでもあるイングランド(3月26日)、イタリア(29日)との2連戦は、改めて自分たちの現在地を確認し、本大会でどのようなサッカーをすべきかを知る機会となるだろう。
 
 GKマヌエル・ノイアー(バイエルン)から始まるボールポゼッション、前線の流動的で連動的なポジションチェンジ、それらを繋ぎ合わせる効果的な縦パス――。
 
 これらをベースに、これまで熟成させてきた戦い方を改めて整理する一方で、ここにどんなバリエーションを加えられるかを探ることになる。また当選落上の選手は、その可能性と耐性が試されることになるはずだ。
 
 選手で見てみると、リーグで好調なドルトムント組が今回、どこまでレギュラー争いに食い込めるのかは楽しみなポイントである。
 
 大黒柱としての活躍を見せるイルカイ・ギュンドアンは負傷で招集メンバーを外れたが、マルコ・ロイスは最近のリーグ戦で発揮している得点力を代表でも発揮したいところ。2年前は直前の負傷でW杯を棒に振っただけに、今回に懸ける意気込みは非常に強い。
 
 その他で興味深いのは、クラシカルなCFタイプのマリオ・ゴメスだ。昨年11月13日に行なわれたフランス戦(0-2で敗戦)で久しぶりに代表復帰を果たし、所属クラブ(ベジクタシュ)での活躍を認められるかたちで、今回もメンバー入りを果たした。
 
 これは、本大会に向けて新しい得点パターンを模索するレーブ監督の、期待の表われでもある。

次ページ「忘れられた存在」のゲッツェには代表での鬱憤晴らしを期待。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事