岡崎慎司の運動量と献身性がキーポイント! プレミアリーグで首位を走る"レスター式"カウンターの妙とは?

2016年03月15日 清水英斗

今季の躍進は、『修理屋』の異名を取るラニエリの手腕が大きい。

堅守速攻を研ぎ澄ませたラニエリ監督の手腕は、評価されて然るべきだ。(C)Getty Images

 世界的な注目を集めている"堅守速攻"のレスター・シティ。堅牢なディフェンスから、奪ったボールをスペースへ蹴り込み、ジェイミー・ヴァーディーやリャド・マハレズらが技術とスピードで切り裂く。カウンターの決定力は、痛快そのものだ。

 本来ならば、レスターがプレミアリーグの首位を走る状況は考えにくい。なぜなら堅守速攻は、堅守速攻に対し、必ず問題を抱える。お互いに戦術を貫けば、0-0のスコアレスだ。あるいはリスク承知で殴り合うしかない。引いた相手を遅攻で崩し切れず、下位クラブから勝点を取りこぼすチームが、リーグ戦の王者になるのは難しい。

 ところが現実、レスターは3月15日時点で首位だ。彼らの快進撃は03-04シーズンのチャンピオンズ・リーグを思い出させる。当時は4大リーグのビッグクラブが、揃いも揃ってパッとしなかった。伏兵ポルトが優勝し、ジョゼ・モウリーニョが名声を博したのも、本命不在のシーズンであることが大きかった。
 
 今季のプレミアリーグも同じだ。通常のシーズンならば、1試合平均で勝点2.3ほどを挙げたビッグクラブが優勝する。しかし、今季は平均勝点2を超えるビッグクラブがひとつもない。

 モウリーニョ(チェルシー)は解任され、ルイス・ファン・ハール(マンチェスター・U)は風前の灯、マヌエル・ペジェグリーニ(マンチェスター・C)は今季限りでの退任が決まった。堅守速攻のレスターが平均勝点2.10で首位を走るのは、本命不在のシーズンならではの現象とも言える。

 もちろん、そのような外部要因を差し引いても、レスターは高く評価されるべきチームだ。今季の躍進は、『修理屋』の異名を取るクラウディオ・ラニエリの手腕が大きい。

次ページ前線の流動性をベースにした戦術変更が、岡崎にも恩恵を与えた。

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