【現地記者の英国通信】古き良き雰囲気のアプトン・パークとの決別は、本当に最良の決断なのか?

2016年03月11日 スティーブ・マッケンジー

リバプールとのFAカップは記憶に残る激戦に。

FAカップではリバプールを撃破し、準々決勝でマンチェスター・Uと対戦することが決まったウェストハム。このビッグゲームに勝利し、慣れ親しんだスタジアムに別れを告げることができるだろうか。 (C) Getty Images

 私は今シーズン、ウェストハムのホームグラウンドであるアプトン・パークに足を運んでいなかった。しかし、クラブが本拠地をオリンピックスタジアムに移転するこの夏までには見に行かなければならないと、自分自身と約束していた。
 
 それから2月中旬になっても、私はまだ彼らのホームに行けていなかった。気づけば残された試合数は減り、あの独特の雰囲気を楽しめるのも6試合だけとなっていた。
 
 そこで私は、2月10日に行なわれたFAカップ4回戦のリバプール戦のリマッチを見に行くことを決めた。
 
 この一戦を選んだのにはいくつか理由があるが、最大の理由はキックオフが夜だったことだ。アプトン・パークは日中の試合よりも、夜の試合のほうが良い。ファンが一日の仕事を終えて、アルコールという燃料を補給してからスタジアムに足を向けることによって、会場全体が興奮状態にある空気感がたまらないのだ。
 
 試合はというと、延長戦に入ってウェストハムが勝利。終了したのは、かなり遅い時間になったものの記憶に残る戦いになった。
 
 ウェストハムがアプトン・パークで、リバプールと対戦する時、私はいつも20年前の出来事を思い出す。それはウェストハムがリバプールに勝利したのと引き換えに死んだ、我が家のオウムのことだ。
 
 当時は今以上にリバプールとは力の差は明確で、私たち家族はオウムがウェストハムに勝利をもたらしたに違いないと洒落ではなく真剣に思っていた。
 

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