U-17世代に関わって10年、“ゴリさん”が伝えたかったこと。種まきに徹して畑を耕す。その功績は計り知れない【森山ジャパン総括】

2023年11月25日 松尾祐希

“死の組”を勝点6の3位で突破

熱い指導で選手たちの成長を手助けしてきた森山監督。写真:佐藤博之

「1年遅れでアジアの戦いを経験して、選手たちはまだまだ。個人としてもグループとしても甘さたっぷり」

 昨年10月、U-17日本代表の森山佳郎監督はU-17アジアカップ予選(U-17ワールドカップの1次予選)を戦う選手たちに、厳しくも愛のある言葉で現時点での力を評していた。

 この世代からレギュレーションが変更となり、U-15年代で行なっていたU-17W杯のアジア1次予選は、1年後ろ倒しに。最終予選(U-17アジア杯)は8か月ほど遅れ、W杯と同じ年の6月に開催された。

 さらにこの世代は、2020年3月頃から大流行した新型コロナウイルスの影響で、中学2年生から3年生にかけて強化の場を失っている。U-15代表でもクラブでも海外遠征の機会が減少。経験値は不足し、今までのチームと比べて精神的にも肉体的にも、どうしても物足りなさは否めない。

 本当に世界で戦えるのか。そんな不安を覚えずにはいられなかった。
 
 だが、U-17アジア杯予選から1年ちょっと。「どことやっても戦えるんだ。そういう自信を彼らは得たはず。それをもってすれば、成長速度を変えてくれるんじゃないかな」。指揮官が目を細めるほど、選手たちはひと回りもふた回りも成長し、見違えるように逞しくなった。

 何度倒れても前に進む。壁に当たっても乗り越える。その繰り返しが彼らを強くした。かのマハトマ・ガンジーもこんな名言を残している。

「人は何度でも立ち上がる。立ち上がっては倒れ、立ち上がっては倒れ、その足もとはおぼつかないかもしれない。けれども、立ち上がったことは、一生忘れることのない、かけがえのない記憶となる」

 U-17W杯に臨んだ若き日本代表は、ベスト16で敗退した。グループステージではポーランド、アルゼンチン、セネガルといった強豪国とタフに戦い、"死の組"を勝点6の3位で突破。11月20日に行なわれたラウンド16では、中2日の連戦という過酷な日程で戦うことを余儀なくされ、中3日のスペインに1-2で敗れた。それでも、彼らが辿った足跡は胸を張れる。

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