新会長インファンティーノの素顔――FIFA、サッカー界はどう変わるのか?

2016年02月29日 片野道郎

「FIFAは大きな困難に直面していたが、危機は終わった」

CL、EL、EUROの組み合わせ抽選会で、ジェスチャーをまじえながら進行する姿がお馴染みだったインファンティーノ新会長。これからはサッカー界全体の舵取りを任される。 (C) Getty Images

 昨年6月に勃発したFIFAスキャンダルによって、ジョセフ・ブラッター前会長が辞任して以来、半年以上空席のままになっていたFIFA会長のポストに、やっと新しい主が収まった。
 
 2月26日にスイス・チューリッヒで行なわれた会長選挙を勝ち抜いたのは、欧州、南米、北中米の支持を受けて立候補していたUEFA事務局長のジャンニ・インファンティーノだ。
 
 チャンピオンズ・リーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)の組み合わせ抽選会で毎回、にこやかに司会進行を努めるスキンヘッドの紳士、と言われれば、欧州サッカーに詳しい読者なら「ああ、あの人か」と膝を打つかもしれない。
 
 本来ならば次期会長の最有力候補だったミシェル・プラティニUEFA会長(FIFA懲罰委員会によってブラッターとともに6年間の資格停止処分を受けている)の代理としてインファンティーノは、改革と透明化を公約に掲げて立候補した。
 
 プラティニの仇敵であるブラッターが水面下で推していた、守旧派のバーレーン王族サルマン・ビン・イブラヒム・アル・カリファ(アジア、アフリカの支持が基盤で、日本も票を投じたはず)と、事実上の一騎打ちを演じるかたちになった。
 
 1回目の投票では全207票のうち88票を集め、85票のアル・カリファをリードしたものの、規定の過半数には達しなかった。
 
 しかし2回目の投票では、1回目で3位だったヨルダン王族アリ・ビン・アル・フセインに集まった27票(主に北アフリカ諸国)のほとんどを上乗せするかたちで、115対88と過半数を超える完勝を果たした。
 
 ちなみに、この27票を取りまとめたとされるエジプト・サッカー協会のガマル・アマル会長は、FIFAの新事務局長に就任するかもしれないという噂もある。
 
「FIFAは大きな困難に直面していましたが、その危機もこれで終わりです。大きな変革を進め、サッカーを改めて舞台の中心に据えるべき時が来たのです」
 
「FIFAは失ったリスペクトを取り戻さなければなりません。そのために、ここにいる全員と力を合わせて取り組んでいくつもりです」
 
 就任演説で、インファンティーノ新会長はこのように抱負を語った。

次ページプラティニUEFA会長の下、事務局長として数々の施策を推進。

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