残留を争う湘南とドローで悲願の初優勝へ足踏み。神戸に浮かび上がった山口蛍の欠場の大きさ

2023年10月28日 本田健介(サッカーダイジェスト)

後半に同点に追いついたが

湘南とのドローで2位の横浜に差を縮められた神戸。試合後には選手たちは悔しさを表わした。写真:滝川敏之

[J1第31節]湘南1-1神戸/10月28日/レモンガススタジアム平塚

 前節、国立競技場で鹿島に会心の勝利を挙げて悲願の初優勝へ一歩近づいた神戸は、31節で湘南と対戦。残留を争う相手に11分に先制されると、53分の大迫勇也のPK弾で追いついたが、1-1のドローで試合を終えた。

 後半アディショナルタイムには、湘南GK富居大樹が負傷し、湘南が交代カードを使い切っていたために数的有利になり、DF大岩一貴がGKを務めるチャンスを得たが、勝ち越し点は奪えなかった。

 試合を通じて浮かび上がったのは、中盤の大黒柱である山口蛍の欠場の影響である。

 吉田孝行監督は状況を次のように説明する。

「(山口は)怪我であることは言えますが、その状況が次の試合に間に合うかは、日々の様子を見ないと分からない形です」

 そして指揮官は続けた。

「蛍は替えの利かない選手ですが、彼の高強度のランニング、ひとりで2倍走っている部分は全員でカバーしなくてはいけなかったです。井出(遥也)をボランチにしましたが、彼の良さを生かしながら、運動量は周りでカバーしようと考えていました」

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 この日の中盤には前節の鹿島戦で1ゴール・1アシストの井出、2ゴールの佐々木大樹をインサイドハーフに、扇原貴宏をアンカーに配す形を選択したが(守備時は井出と扇原がダブルボランチ、佐々木がトップ下のような形)、前半は特にセカンドボールを湘南に奪われ、難しい展開を強いられた。

 山口と言えば、抜群の読みとセカンドボールの回収力をチームに還元してきた存在である。そして中盤では、シーズン前半にアンカーとして大活躍した齊藤未月も長期離脱中となっている。

 井出、佐々木は比較すれば攻撃面に特長を発揮できる選手で、山口とタイプが異なるだけに、湘南戦は中盤での勝負で後手を踏むシーンが増えた印象である。もちろん、攻撃面で井出と佐々木の良さが出るシーンもあっただけに、チームとして選手の能力をどう生かすかがポイントなのだろう。

 後半途中からは右SBの酒井高徳をボランチに移動させ、中盤の安定感を高めた策も今後につながるのかもしれない。

 扇原は「蛍くんはチームに欠かせない存在と全員が思っていますが、蛍くんがいなかったら勝てなかったというのは本当に情けないですし、蛍くんに頼ってばかりではいけないというのは、みんな感じている。もちろんいないのは痛いですが、こういうアクシデントはシーズンを通じてあることなので、そういう時に結果を残したかったという想いはあります」と語る。

 今節の結果で2位の横浜との勝点差は「2」に縮まった。さらに佐々木も湘南戦の後半に負傷交代している。11月12日の次節・浦和戦を含めシーズンは残り3試合。神戸がどうチームマネジメントをしていくは大きなポイントだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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