「もっとできるんじゃないか」絶望感漂うなでしこジャパンを池田監督はどう再生したのか

2023年10月21日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

東京五輪後に掲げたテーマとは?

池田監督はなでしこジャパンに何をもたらしたのか。写真:滝川敏之

 2021年の東京五輪でなでしこジャパンがスウェーデンに敗れたかと、少なからずショックだった。大会を通して意図的なパスが少なく、流れるような攻撃がほとんどない。「どの試合も守備の時間が多くて、自分がオーバーラップをしてクロスを上げたのは数シーン」との清水梨紗のコメントからも、それは分かるだろう。

【動画】池田監督インタビュー(前編)

 この先、なでしこジャパンはどうなるのか。期待よりも不安が膨らむなか、東京五輪後にチームを任されたのが池田太監督だった(21年10月就任)。2018年のU-20女子ワールドカップで日本女子代表を優勝に導くなど、その手腕を評されての抜擢である。

 それから2年の時を経て臨んだ女子ワールドカップ、なでしこジャパンはピッチで躍動する。結果こそベスト8だったが、パフォーマンスそのものはポジティブに映った。最終的に優勝するスペイン女子代表をグループリーグで4-0と下した試合は痛快。戦略的にもパーフェクトなゲームだった。

 絶望感が漂っていたなでしこジャパンを、池田監督はどう再生したのか。指揮官にそう問うと、次のような答が返ってきた。
 
「何を変えるというより、もっとアグレッシブな戦いを求めていきたいと考えていました。それを選手に伝えるうえで、『奪う』というテーマを掲げました。ボールを奪う、勝利を奪う、そういう意味でのアグレッシブさです」

 なでしこジャパンのポテンシャルを考えれば、「もっとやれるんじゃないか」と。池田監督はその思いを選手たちに伝えたという。

 先の女子ワールドカップを振り返れば、確かに"良い守備から良い攻撃"を実践できた場面はあった。「高い位置でもボールを奪うアクションを起こす」との池田監督の言葉を体現したのが、ノルウェー戦の2点目、清水のゴールだろう。

 切り替えの速さも追求しているなでしこジャパン。今は不安よりも期待が膨らんでいる。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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