【セリエA現地コラム】熾烈なスクデット争いを演じるユーベとナポリ。勝負を分けるキーファクターは?

2016年02月18日 片野道郎

2月後半から3月にかけては、ナポリにとっていわば鬼門。

ユベントスとの首位攻防戦に敗れて2位に転落したナポリ。絶好調のイグアイン(左)も封じ込められた。(C)Getty Images

 2月13日の直接対決(セリエA25節)でナポリを下したユベントスが、順位を逆転して今シーズン初めて首位に躍り出た。
 
 カンピオナートは残り13試合。3位フィオレンティーナとの勝点差が8ポイントまで広がっているのを考えれば、スクデット争いはこの2チームに絞られたと見てもいいだろう。
 
 現時点におけるユーベとナポリの勝点差はわずか1。ここから先は、1試合、2試合の取りこぼしが決定的な差となって響いてくる。
 
 この戦いの結末やいかに。残り試合を戦っていくうえでポイントになりそうないくつかの角度から、両チームの状況を比較してみたい。
 
 ユーベとの大一番に敗れて首位から陥落したナポリにとって、ここからの2週間がシーズンの行方を左右する正念場になるだろう。
 
 セリエAでは2月22日にミラン、29日にフィオレンティーナという強敵との対戦が続く。それだけではない。ELでベスト32に勝ち残っているナポリは、今週から2週連続でミッドウィークに好調ビジャレアルとのホーム&アウェーを戦わなければならない。
 
 ユーベに敗れたダメージを癒す暇もないまま、中2日、中3日でビジャレアル(アウェー)、ミラン(ホーム)、ビジャレアル(ホーム)、フィオレンティーナ(アウェー)という超ハードな日程を乗り切らなければならないわけだ。
 
 過去2シーズンを振り返っても、ELのノックアウト・ラウンドがスタートして日程が過密化する2月後半から3月にかけて、リーグ戦で取りこぼしが目立っており、ナポリにとってこの時期はいわば鬼門。今シーズンも同じ失敗を繰り返せば、ユーベとの差が一気に開きかねないばかりか、前半戦以来続いてきたポジティブな流れが一気に断ち切られてしまう可能性もある。
 
 マウリツィオ・サッリ監督は、セリエAではほぼメンバーを固定して戦ってきた一方で、ELとコッパ・イタリアでは積極的にターンオーバーを試みるというはっきりした方針を貫いてきた。
 
 その事実からわかるように、ナポリの優先順位は明らかにELよりもスクデットにある。おそらく今回も、ELではターンオーバーをして、セリエAにいつものベストメンバーを送り出すだろう。
 
 ナポリにとってこの時期が鬼門であるのは確かだ。しかし逆に言えば、大きな傷を負わずに乗り切れれば、スクデットに向けた視界が一気に開けてくる。
 
 スクデット争いだけを考えれば、今後はセリエAだけに集中して戦うのがベスト。その意味では、ELではビジャレアルに善戦しながらも敗退して欧州カップ戦の負担から解放され、セリエAではミランとフィオレンティーナを下して首位争いに踏みとどまるというのが、もっとも好ましいシナリオかもしれない。
 
 

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