【山形】必要なのはプレスがハマらなかった際の次善策。CFの林が示した“ヒント”とは?

2016年02月14日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

大宮戦では持ち前のプレスが上手くハマらなかった。

林の活躍は、J1復帰を目指すうえでひとつのポイントになるかもしれない。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 近年の山形の持ち味と言っていいハイプレスが、大宮とのプレシーズンマッチではあまり機能しなかった。中盤でいいようにパスを回され、いとも簡単にエリア内へ進入された挙句、ほぼフリーでシュートを打たれる──。そんなシーンが何度も繰り返された。

 キャンプで追い込んでいる最中だけに、選手の身体が重いのは理解できる。この段階でベストパフォーマンスを見せたところで、さして意味がないのも分かる。それでも山形に対して不安が拭えなかったのは、ハイプレスが機能しなかった際の"次善策"が見られなかったからだ。

 「連動できていない。狙いどころでボールを取れていない。(このオフに)選手を大幅に入れ替えたなかで、チームにどう馴染ませるか。そうした作業をリーグ開幕までにやっていきたい」とのコメントから察すれば、石﨑監督は引き続きプレッシングサッカーをベースに戦おうとしている。

 しかし、なにより運動量とコンビネーションが肝になるそのサッカーを、シーズン通して続けるのはおそらく困難だろう。実際、J1で戦った昨季もプレスがハマった時は上位陣と互角に渡り合ったが、ハマらなかった際は脆くも大敗と調子の波は大きかった。

 大宮戦は、ひとりでもサボれば機能しなくなるプレッシングサッカーの弱点を露呈した試合だった。前半、3-6-1システムで攻撃的MFを担った佐藤がいくら前からプレッシャーを掛けても後が続かない。1トップのディエゴは明らかに足取りが重く、新戦力でセカンドトップのディエゴ・ローザもチームの戦術に馴染んでいなかった。つまり、複数人で囲むような連動した守備は、ほとんど見られなかったのだ。

 3-6-1から3-4-2-1にシステムを変更した後半も、守備は改善されなかった。とりわけ試合終盤は相手をフリーにする場面が目立ち、いとも簡単にカウンターを食らっていた。システムを変えてもプレスは相変わらず中途半端で、大宮に好きなようにやられていた印象だった。

 今季も、プレスがハマらない時は間違いなくある。そうした試合でも勝点を拾えるかがJ1復帰への鍵になるわけだが、割り切って引いて守るのもひとつの手だ。そう思えた要因のひとつが、林のポストプレーだった。

「後半のほうが攻撃のリズムは良かった。昨年は真ん中(CF)に当てられなくて攻められなかった時が多かったから、今日はダイレクトで叩いたり、そういうところを意識してやった」

 林のコメントからも分かるように、後半は速攻に近い形からいくつか決定機を作っていた。林がポストプレーヤーとして上手く機能すれば、守備をベースにしたカウンター戦術は現実的な選択肢になる。
 

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