「僕は結構怖がりなんです」パリ五輪世代のリーダー藤田譲瑠チマの人間性。献身性とハードワークは両親譲り

2023年09月29日 元川悦子

両親は「僕から見ても凄い人」

パリ五輪を目ざす大岩ジャパンではリーダー格の藤田。勝利への強い気持ちでチームを牽引する。(C)Getty Images

 藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン。以下、STVV)と言えば、2019年にU-17日本代表入りした頃から「パリ五輪世代のリーダー格」と位置づけられてきた。

 19年のU-17ワールドカップに参戦し、21年U-20W杯はコロナのため中止になってしまったが、大岩剛監督率いるチームには21年の発足当初から名を連ね、主軸ボランチとして周囲を鼓舞し続けている。

「僕は特別にリーダーシップを持っているという自覚はないんです。たぶん、同世代のみんなに聞いたら分かると思いますけど、全然そういうタイプでもないですし、規律あるキャプテンのような人間性でもない(苦笑)。ただ、試合になったら勝ちたい気持ちがものすごく強いし、周りが広く見えるポジションなので、声掛けをしているだけなのかな。

 もう1つ言うと、僕は結構怖がりなんですよね(笑)。たくさんの情報を持っていないと怖いので、意識的に周りを見て、慎重に、慎重にプレーしています。見えていないところで無謀なワンタッチとかスルーパスなんかはできない。視野を広げるためにコミュニケーションを大切にしているところはあります」と、藤田は自己分析する。
 
 とはいえ、ピッチ上で闘将になれるということは、もともとの人間力があるということ。ナイジェリア人の父と日本人の母の間から生まれた藤田は、1人っ子として大切に育てられたが、両親の立ち振る舞いを見て、学んだことは少なくなかったようだ。

「僕の両親はものすごくお人好しで、自分の身を削ってでも、誰かに何かを与えてしまうようなタイプでした。要領は決して良くないかもしれないけど、僕から見ても凄い人でした。自分がその気質を引き継いだかと言えば、必ずしもそうではないかな。

 僕は嫌なことは嫌だと言うタイプなので。ワガママなところもあるんじゃないかな。小学校2年から一緒にサッカーをやってきた山本理仁に聞いたら分かるんじゃないですかね」と、藤田は笑う。1人っ子気質は確かにあるのだろうが、ピッチ上の献身性とハードワークは両親譲りと見ていいはずだ。

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