セルビア代表にも影響するサウジアラビアクラブの“猛威”。夏の移籍直後に行なわれたEURO予選の難しさとは?【喜熨斗勝史の欧州戦記】

2023年09月26日 サッカーダイジェスト編集部

中心選手のふたりがサウジアラビアへ

今夏、トルコのフェネルバフチェへ移籍したタディッチ。今予選で代表100試合出場を達成した。

 セルビア代表のドラガン・ストイコビッチ監督を右腕として支える日本人コーチがいる。"ピクシー"と名古屋でも共闘し、2010年のリーグ優勝に貢献した喜熨斗勝史だ。

 そんな喜熨斗氏がヨーロッパのトップレベルで感じたすべてを明かす連載「喜熨斗勝史の欧州戦記」。先日のEURO予選や、夏に移籍した選手たちのコンディションにまつわるエピソードなどを振り返ってくれた。

――◆――◆――

 日本代表の強さは本物になってきましたね。親善試合とはいえ、本気のドイツ代表に快勝。トルコ代表戦も勝利で飾りました。

 堅守速攻はチーム戦術として確立されたのではないでしょうか。海外で働くサッカー人として、日本代表が強くあることは喜ばしいことで誇らしいこと。試合後は森保一監督や浅野拓磨選手に連絡を取り「お互いに頑張ろう」とエールを送り合いましたが、あらためておめでとうございます。

 我々セルビア代表も、9月は重要な2試合を行ないました。来年開催されるEURO2024予選のハンガリー戦とリトアニア戦。結果からいえば1勝1敗でした。

 ホーム開催でほぼ無観客状態だった初戦ハンガリー戦は逆転負け(3月のEURO予選モンテネグロ代表戦でサポーター同士が衝突したための制裁措置)。全体練習が2日間しかできなかったのはお互いに同条件なので仕方ない。ただ、選手の移籍直後に組み込まれる9月のナショナルマッチは特に難しいです。

 今夏、移籍市場の話題を集めたのがサウジアラビア・リーグ。セルビア代表選手もFWアレクサンダル・ミトロヴィッチ(フルハム→アル・ヒラル)とMFセルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ(ラツィオ→アル・ヒラル)のふたりが同国へ移籍をしました。

 大金を稼ぐ――。プロフェッショナルとして当たり前のことですし、彼らの決断を応援するのですが、代表活動にどのように関わってくるのかは注視していく必要があります。

【PHOTO】2023年夏の移籍市場で新天地を求めた名手たちを一挙紹介!
 サウジアラビア・リーグは外国籍選手の登録が8人まで認められており、7人が同時出場できます。同じチームにはブラジル代表FWネイマールがいて、ポルトガル代表MFルベン・ネヴェスもいる。彼らが所属するアル・ヒラルは、自国の選手以外は、そのまま欧州CLに出場しても違和感がない陣容が揃っています。でもサウジアラビア・リーグ全体を見渡せば、アル・ヒラルのようなチームばかりではありません。

 ポルトガル代表FWクリスティアーノロナウドやセネガル代表FWサディオ・マネらが所属するアル・ナスル、フランス代表MFエンゴロ・カンテや同FWカリム・ベンゼマ擁するアル・イテハドら強豪と言えるのは数チーム。ハイインテンシティーのセリエAやプレミア・リーグで戦っていたのが、余力を残して勝ててしまう。

 試合が緩くなってしまうことは、選手のメンタルやフィジカルコンディションに影響してしまいます。事実、ハンガリー戦はアレクサンダル・ミトロヴィッチの状態を上手く調整できませんでした。2戦目のリトアニア戦では本来の調子を取り戻し、ハットトリックと爆発してくれましたが、サウジアラビア・リーグのレベルやクラブの練習強度を確認するのは大事になりそうです。

 主将のMFドゥシャン・タディッチ(アヤックス→フェネルバフチェSK)も今夏移籍組。私がセルビア代表コーチに就任して以降トルコリーグ在籍選手はいなかったので、10月の国際Aマッチウイークが終わればフェネルバフチェSKを訪問しようと考えています。

「ボールに触れるたびに危険」"圧巻2分弾"の久保建英を現地メディアが称賛!「替えが利かない存在だ」

「彼はワンランク上になった」電光石火弾で6戦4発の久保建英にソシエダ指揮官が賛辞!一方で、厳しい要求も「決定機を外した時は許せないが...」

「すごい超えてずるいわ」開始2分弾に絶妙スルーパスも! 久保建英、貫禄の90分に反響「完璧じゃないか」「スルスル抜けていく」
 

次ページチャンスがあれば呼んでみたい選手との出会いも

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事