「東京五輪に強行出場したツケ」故障を繰り返すペドリ。16歳のヤマルには負担をかけるべきではない

2023年09月22日 小宮良之

メッシでさえ10代の時はフィジカル面が不安定だった

若くしてデビューを飾ったペドリ(左)とヤマル(右)。(C)Getty Images

 10代で注目を浴びるのは、危険が伴う。

 スペイン代表でFCバルセロナ所属のペドリは、アンドレス・イニエスタに匹敵する才能の持ち主で、「世界最高のサッカー選手」となる筆頭候補の一人だろう。ボールスキルは出色、置きどころがいいことで、アドバンテージを取れるし、そこからのキックも上質。判断に優れ、直前までキャンセルし、ベターなものに代えられる。ポジション的優位を取れる賢さもあり、周りを輝かせながら、自らも輝く。ゴール前に入る感覚も備えたMFだ。脚光を浴びたのは当然だった。

 しかしながら、ペドリはこの1、2年、深刻な筋肉系のケガの連鎖に悩まされている。シーズン開幕後、大腿四頭筋を痛めて、全治約1か月半。復帰してはケガを繰り返すようになってしまった。

「東京五輪に強行出場したツケ」

 それは呪いのように語られる。2020-21シーズン、まだ10代だったペドリだが、バルサの主力としてシーズンフル稼働した後、EURO2020で準決勝まで戦い、さらに東京五輪でも決勝まで戦った。シーズンで75試合。それは度を超えていた。

 その後、ペドリは筋肉系の故障を多発させることになったのだ。

 あのリオネル・メッシでさえ、10代の時はフィジカル面が不安定だった。何度か肉離れを起こし、爆発的なパワーを未完成なボディが持て余していた。プレーレベルはすでに中心選手だが、起用は慎重さが必要になる。

 メッシは肉中心だった食生活を魚中心にし、ケガが大幅に減ったが…。

 それぞれ事情は違うが、10代で過度な稼働は危険である。プレー自体は目覚ましくても、未成熟の身体が悲鳴を上げてもおかしくない。身長含めて肉体が成長過程にある場合、潜在的なリスクを残すことになるだろう。

【動画】スペイン代表の最年少得点記録を更新したヤマルの鮮烈左足弾!
 これは17歳で華々しくデビューしたアンス・ファティも同じことが言える。肉体的に不安定だったことで、ケガが頻発するようになった。そこで、肉体改造に取り組み、屈強にはなったが、切れを失った印象がある(ブライトンへ期限付き移籍)。

 同じバルサでは、今やラミネ・ヤマルが16歳で目覚ましい台頭を見せている。もはや、ブラジル代表ラフィーニャからポジションを奪ってもおかしくない。ビジャレアル戦、ガビへのアシストやロベルト・レバンドフスキの決勝点のアシストになったシュートなど圧巻だった。その活躍によって、スペイン代表にも選ばれている。

 ヤマルはバルサの希望で、スペクタクルの象徴である。

 ただ、16歳の少年にあまり負担をかけるべきではない。その後、大きなツケを払わせることになるかもしれないからだ。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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