「まるで容赦しない仕掛け」で初アシストの久保建英は、なぜその後に輝きを失ったのか。番記者が指摘「戦力低下のソシエダはますますタケの突破力を活かす方向に...」【現地発】

2023年08月23日 ミケル・レカルデ

昨シーズンのチームより戦力的に見劣りしている

右足のクロスで先制点を演出した久保。(C)Getty Images

 人間は同じ石に2度つまずく唯一の動物と言われる。レアル・ソシエダは、アノエタでセルタ相手にまたしても痛恨の引き分け劇を演じた。少なくとも今のところ、開幕からのホーム2試合で勝点4を失ったことで、物事を正しく行うことができていないことを露呈した。

 5人の新戦力を迎え入れると謡いながら、最初の2試合でアマリ・トラオレ1人しか起用できなかったのであれば、明らかな計画ミスである。移籍市場が8月31日に閉まるため、まだ時間はあるが、昨シーズンのチームより戦力的に見劣りしているのは間違いない。

 それは単純に質と量の問題だ。ダビド・シルバ、アレクサンダー・セルロト、アシエル・イジャラメンディ、アンドニ・ゴロサベル、アンデル・ゲバラの5選手が退団。ミケル・メリーノも負傷で2戦とも欠場した。

【動画】「凄まじい」と現地メディアも絶賛!久保が右足のピンポイントクロスで今季初アシスト
 ラ・レアルの学習能力のなさを嘆きたくなるのは、もう一つ理由がある。同じ相手に再びホームで、タケ・クボ(久保建英)がピッチを後にしてから、ラインがずるずると下がり、後半ロスタイムに同点に追いつかれる(第22節、1-1)という昨シーズンの二の舞を演じたことだ。

 タケはジローナ戦に続いて、存在感を発揮した。この一戦で明らかになったのが、ラ・レアルの戦術はタケの突破力を活かす方向にこれまで以上に舵を切っていることだ。DF、MFを問わず、後方にいる選手がタケにボールを送るサイドチェンジを繰り出し続けたのはその一環で、ベニャト・トゥリエンテスの視線も常に右サイドに向けられていた。

 視界が開け、1対1を仕掛ける環境を用意されると、タケはほぼ確実に対面するDFを血祭りにあげてしまう。ボールの勢いを殺してコントロールする名手であり、チャンスを嗅ぎ分けると、まるで容赦しない。左利きではあるが、右足でボールを扱うことに何の支障もない。それを証明したのが、セルタ戦だった。

 ラ・レアルのゲームプランは、タケとアンデル・バレネチェアという小悪魔のような2人がサイドを切り裂けば、必ず火花が散るという発想に基づいていた。

 最初の見せ場は14分、左CKからだった。トラオレのパスを受けたタケが、ファーポストを狙ったシュートを放つが、ウナイ・ヌニェスがクリア。この時点で、セルタの左SB、マヌ・サンチェスは、デビュー以来最悪の午後を過ごすことを覚悟していたはずだ。

「キャプテン翼との比較は避けられない」「漫画のよう」"ノールック"アシストの久保建英はもはやアニメの世界!西メディアが感服「ボールを受けるたびに何かが起こる」

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