【Jリーグ】J3へのセカンドチーム参入で、若手は多くの経験を積めるはずだ

2015年12月19日 後藤健生

Jリーグの決断には、両手を挙げて賛成したい。

武藤は大学経由でJ入りし、ヨーロッパへの扉を開いた。複数のルートがあることは日本のサッカー界の大きな財産だが、下部組織で育てきれなかったJクラブは危機感を持つべきだ。 (C)Getty Images

 来季からFC東京、G大阪、C大阪のセカンドチーム(23歳以下の選手がメイン)が、J3へ参入することが発表された。若手育成を目的とした取り組みだが、果たして狙いどおりの成果を挙げられるのか。同様の仕組みを採用する他国の実情を踏まえて、サッカージャーナリストの後藤氏が是非を問う。
 
――◆――◆――◆――

 ブンデスリーガなどを見ていると、20歳未満の選手が当たり前のようにトップチームでプレーをしている。あるいは、ACミランのゴールはこのところ16歳のジャンルイジ・ドンナルッマに任されている。

 もちろん、日本でも若い選手に出場機会を与えることの必要性が叫ばれて久しいが、残念ながらユースからトップに昇格して、すぐに出場機会を得られる選手はほんのひと握りなのが現状だ。

 そして、今ではトップ昇格を望まず、とりあえず大学のサッカー部に身を投じて、実戦を経験する進路がすっかり定着。長友佑都や武藤嘉紀のように大学経由でヨーロッパのクラブに羽ばたく選手もいる。

 もちろん、複数のルートがあることは日本のサッカー界の大きな財産だ。しかし、それは、あくまでも例外的な救済措置であるべきで、「大学経由」が一般的なルートになってしまうのはおかしい。Jリーグのクラブは危機感(あるいは屈辱感)を抱くべきだ。

 では、Jリーグの枠内でどのようにして、若手に出場機会を与えるのか……。

 最も大事なのはクラブ首脳やトップチームの監督の意識改革だろう。目先の勝負を考えれば冒険であったとしても、積極的に若手にチャンスを与え、人材を育てれば、クラブとして大きな財産になるはずだ。

 二番目の方策がレンタル移籍の活発化だ。出場機会が少ない選手を武者修行に出して成長させることができれば、クラブにとっては大きなプラスになる。

「大学経由」も一種のレンタル移籍のようなものではあるが、卒業までと考えればレンタル期間は4年間。あまりに長すぎると言わざるを得ない(長友や武藤のように卒業を待たずにプロ契約を交わすのなら話は別だが)。
 
 そして、今回Jリーグが打ち出したのが「J3へのセカンドチームの参入」だ。ヨーロッパ諸国でも取り入れられている制度であり、僕は両手を挙げて賛成したい。

次ページトップチームの前座試合にすれば、若手も多くの観客の前で戦える。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事