トップ解説者からJ3指揮官へ。未知なる地・岩手に赴いた松原良香が偽らざる本音を吐露「日本サッカー界にも貢献できる」

2023年04月28日 元川悦子

現役時代にはアトランタ五輪にも参戦

今季から、岩手の監督に就任した松原。3月にはJ3月間最優秀監督に選出された。(C)IWATE GRULLA MORIOKA

 昨季、初挑戦のJ2で最下位の22位に終わり、1年でのJ2復帰を目ざしているJ3のいわてグルージャ盛岡。3月5日の開幕・愛媛FC戦で5-1と大勝し、一時はトップに立つなど今季は悪くないスタートを切っている。

 7節終了時点では3勝2分2敗の勝点11で7位という位置にいるが、首位のAC長野パルセイロとのポイント差はわずか3。本当の勝負はここからだと言っていい。

「今季のJ2昇格ラインは勝点80。2勝1敗のペースで行けば、十分に到達できる数字だと考えています。4月末からの鹿児島、長野、八戸との直近3連戦は1つのポイント。10節終了時点で上位につけていたいですね」と、今季から指揮を執る松原良香監督は力を込める。

 彼はご存じの通り、ジュビロ磐田、清水エスパルス、ジェフユナイテッド千葉など数多くのチームで戦った元Jリーガーである。96年アトランタ五輪にも参戦したことがあり、ウルグアイ、クロアチア、スイスなど海外でのプレー経験も豊富だ。
 
 近年は筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ健康システム・マネジメント専攻で学び、修士号を取得。ストライカーやGKの研究を進めて論文を発表している。こうした学術的な知見を活かしながら、解説業にも注力。Jリーグはもちろんのこと、チャンピオンズリーグや欧州5大リーグの試合中継にはほぼ毎週、出演していて、トップ解説者の1人として八面六臂の活躍を見せていた。

 そんな松原監督が今、このタイミングで未知なる地・岩手に赴くというのは予想外の出来事。周囲を大いに驚かせた。

「僕自身は2~3年前から現場の監督をやりたいと強く思うようになっていました。2015年にSC相模原で3試合だけ監督をやったことはあったのですが、本腰を入れて選手を間近で見たいと感じていたんです。

 そんな時に秋田(豊)さん(いわて社長)が僕にオファーしてくれた。東北は自分にとってはあまり縁のない土地でしたけど、慣れた静岡や関東ではないところで一からスタートしたいなと意欲が湧いてきた。このクラブを成長させられれば、日本サッカー界にも貢献できる。そう思って未知なる土地に行く決断をしました」と偽らざる本音を吐露する。

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