【金沢】新戦力ロマリーニョは父ロマーリオと全ての面で一線を画す

2015年12月08日 沢田啓明

プレースタイルも性格も父親とは一線を画す。

名門ヴァスコの下部組織で育ったロマリーニョだが、トップチームではほとんど実績を残せず。心機一転、J2のツエーゲン金沢への移籍を決断した。(C)Getty Images

 11月26日、J2のツエーゲン金沢が完全移籍での獲得を発表したロマリーニョ。セレソンの往年の名ストライカー、ロマーリオを父に持つアタッカーの肖像に迫る――。
 
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 この若者のドングリ眼を見て、舌足らずな話し方を聞けば、小柄ながら抜群の決定力を発揮してバルセロナやブラジル代表などで得点を量産した偉大なストライカーを連想するはずだ。
 
 父親がバルサ在籍中の1993年9月20日、バルセロナで生まれた。22歳になった現在は179センチ・75キロと父親より背は高いが、細身な肉体をしている。
 
 主として右サイドのタッチライン沿いに張り、スピードとテクニックを生かしたドリブルで敵陣を突破し、柔らかいクロスを入れるプレーが十八番。中へ切れ込んで強引にシュートする意識は乏しく、ゴールエリア近辺に陣取って常に貪欲に得点を狙った父親とは一線を画すプレースタイルだ。
 
 性格もまさに正反対。温和な本人も、「(名うてのトラブルメーカーだった)親父と違って、僕は謙虚で控え目なんだ」と笑う。育ちの良さを感じさせる半面、逞しさには欠ける印象を受ける。
 
 かつて父親が所属したリオデジャネイロの名門ヴァスコの下部組織に13歳で加入し、順調に年齢別のチームを駆け上がる。しかし、トップチームではチャンスを得られず、2012年末に首都ブラジリアの中堅クラブ、ブラジリエンセへレンタル移籍。翌年の全国リーグ3部などで5試合に出場して1得点に終わり、昨年も全国リーグ4部などで6試合プレーしたが無得点に終わった。
 
 今年初めにヴァスコへ復帰。コパ・ド・ブラジル(国内カップ戦)で2試合、全国リーグ1部で2試合に出場したが、得点はなかった。そして、11月26日、J2のツエーゲン金沢への完全移籍が決定した。

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