【移籍専門記者コラム】セレソンの新守護神アリソン。ブッフォンの後継者を探すユーベが争奪戦をリード

2015年12月08日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

イタリアやスペインの複数のクラブが獲得を狙う。

移籍マーケットで人気を集めるGKアリソン。今年10月14日のベネズエラ戦で初キャップを刻んだセレソンでも、新守護神に定着しつつある23歳の逸材だ。(C)Getty Images

「これから長い間セレソンの守護神を務めるだろう」
 
 誰もがそう口を揃える逸材が、インテルナシオナウの23歳、アリソンである。アメリカの連続ドラマに出てくる女刑事のような名前だが、実際にはいま移籍マーケットで最も大きな注目を集めるGKだ。5歳年上で同僚の兄ムリエルの控えとしてスタートしたが、今やクラブで完全に定位置を掴み、ブラジル代表にも定着しつつある。
 
 まだインテルナシオナウで控えを務め、U-20代表だった当時に目を付け、ヨーロッパで最初に獲得に動いたのはインテルだった。SD(スポーツディレクター)のピエロ・アウジリオは彼と父親と会談したが、すでに安価は言えない値札が付いていたうえ、サミール・ハンダノビッチが2試合連続でPKをセーブする活躍を見せたため、話はその先に進まないまま終わった。
 
 現在はスペインでセビージャとバレンシア、そしてとりわけイタリアでローマとユベントスが獲得を望んでいる。とくにローマは、かなり前から動き出している。策士として知られるワルテル・サバティーニSDは、保有権を手に入れた後にフロジノーネにレンタルしてセリエAの水に馴染ませ、ヴォイチェフ・シュチェスニー(来夏にアーセナルに返却しなければならない)の後釜に据えようと画策している。
 
 ただ、アリソンはドイツ系の母親を持つ(ファミリーネームは「ベッカー」)にもかかわらず、まだEUパスポートを取得していないため、来年1月に獲得してもローマにもフロジノーネにも登録できない。これが小さくないネックとなっている。

次ページユーベは投資ファンド『ドイエン・スポーツ』との関係が強みに。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事