【ブンデス現地コラム】復活の兆しを見せるアウクスブルク。揺るがない結束を基盤に――

2015年12月03日 中野吉之伴

“二足の草鞋”を履きこなせず、苦しい時期を過ごす。

一時は最下位に沈んだアウクスブルクだが、13節のシュツットガルト戦で4-0の大勝を収めるなど、徐々に調子を上げてきている。(C)Getty Images

 2011-12シーズンにクラブ史上初のブンデスリーガ昇格を果たして以来、毎年のように降格候補に挙げられてきたアウクスブルク。そんな小クラブが特大の驚きを提供したのが、14-15シーズンだ。シャルケやドルトムントを上回る5位でフィニッシュし、ヨーロッパリーグ出場権を獲得。その事実は彼らの大きな誇りとなった。

 ただ、予算規模の小さいクラブにとって、リーグ戦と欧州カップ戦との掛け持ちは大きな負担にもなる。過去にはニュルンベルクやフライブルクがその負荷に耐えきれず、2部降格を余儀なくされた。

 今シーズンのアウクスブルクも"二足の草鞋"を履きこなせず、苦しい時期を過ごしている。開幕から下位を彷徨い、9節のダルムシュタット戦を0-2で落とすと、ついに最下位に転落。続くドルトムント戦でも1-5の大敗を喫した。

 低迷した最大の要因は、コンディションの低下だ。過密日程を強いられ、負傷者や調子を落とす選手が続出。その結果、最大の長所である「ボールに必死に食らい付くハードワーク」が鳴りを潜め、攻守の両局面で後手を踏む場面が頻発した。また、縦に速いチームアタックに創造性を注入していたハリル・アルティントップの不調も大きかった。

 このまま成す術なく、1部の舞台から別れを告げるのか――。そんな不安に駆られたサポーターは少なくなかったはずだ。
 

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