「三笘も獲ろうとしたんですが…」“在籍経験者”4人を日本代表に送り出したSTVVの立石敬之CEOが見たW杯。大会後にはベルギーのファンも「もっと日本人を獲って」「森保さんを監督に」

2023年02月28日 中田徹

「トミーにはいいプレーをして欲しいというより…」

カタール・ワールドカップやその後の反響について語ったSTVVの立石CEO。写真:中田徹

 2022年カタール・ワールドのラウンド16、日本対クロアチアは両チーム一歩も引かない好ゲームになった。ベルギーテレビ局の実況アナウンサー、フィリップ・ヨースは「シント=トロイデン(STVV)の首脳陣はこの試合を誇りに思いながら見ていることでしょう」とコメントした。

 ピッチ上にSTVVのOBであるDF冨安健洋(現アーセナル)、MF遠藤航(現シュツットガルト)、MF鎌田大地(現フランクフルト)がいた。STVVで4シーズン目に入ったGKシュミット・ダニエルは控えだったが、ベルギーリーグでのパフォーマンスの良さをしっかりヨースは伝えていた。

 あれから2か月半が経った。私はSTVVの立石敬之CEOに「クロアチア戦は、ヨースが実況したように、誇らしく見ていたのでしょうか?」と尋ねた。

「そんなことはなかったですよ」と立石CEOは言った。

「個人的には自分が関わった選手のことが気になりますよね。あとはベルギーでプレーしていた選手のことを冷静に見ていた。私は、彼らが日常(=ベルギーリーグ)でどのようなプレーをし、どのような生活をしていたか、わかるわけです。そういう選手は当然、ワールドカップでも気になります」
 
 先に挙げた4人のSTVV在籍経験者に加え、日本代表にはGK川島永嗣(元リールセ、スタンダール)、MF三笘薫(元ユニオン・サン=ジロワーズ)、MF伊東純也(元ヘンク)、FW上田綺世(サークル・ブルージュ)と、合計8人もの選手がベルギーリーグと関わりがあった。

 前回のロシアW杯では、冨安はまだSTVVのリザーブチーム、遠藤は浦和でプレーしていた。『ベルギーリーグ組』として日本代表に選ばれたのは、川島だけだった。それが4年後、『ベルギーリーグ組』は『ドイツリーグ組』の9人に次ぐ、欧州組の一大勢力になったのだ。

「三笘がワールドカップでウイングバックをやって、みんなが『すごいね』と言っていたけれど、ユニオンでも彼はウイングバックでプレーし、守備をしっかりやっていた。だから、私からすると驚きではない。あのとき守備に割いていたパワーを、今はブライトンで前目の位置で使っているから、それは活躍するよね――と思います。ユニオンの1年間は彼にとってすごく大きかった。

 トミー(冨安健洋)にはいいプレーをして欲しいというより、彼の怪我は大丈夫かな。ここで何分間使えるだろうか、と。どちらかというと監督の視線で日本代表のことを見てましたね。FC東京のフロントとして長く一緒に仕事をした長友佑都、権田修一、久保建英のことも気になりました」

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