豪快決勝弾のフランクフルト鎌田大地。試合前には指揮官から助言も…抱えた“不安”を打ち消すシーズン後半戦初ゴール【現地発】

2023年02月08日 元川悦子

非凡な決定力発揮で公式戦13点目

DFB杯のダルムシュタット戦で決勝ゴールを挙げた鎌田。(C)Getty Images

 今季はドイツ・ブンデスリーガで7点、DFBポカールで2点、チャンピオンズリーグ(CL)グループステージで3点と、前半戦だけで公式戦12ゴールを奪っていた鎌田大地。フランクフルトがリーグ上位浮上を果たし、CLで決勝トーナメントに進出できたのも、背番号15をつける男の傑出したパフォーマンスによるところが大だった。

 2022年カタール・ワールドカップ(W杯)を経て、チームは1月21日のシャルケ戦からシーズン後半戦に突入。その試合で白星発進し、フライブルクとバイエルンにドロー。さらに2月4日のヘルタ・ベルリン戦に勝利と無敗でここまで来ている。

 こうしたなか、迎えた2月7日のDFBポカール・ラウンド16のダルムシュタット戦。相手はドイツ2部で首位を走るチームで、昨年7月から公式戦で負けていない。しかもフランクフルトの近接地で、両クラブはダービーの関係にある。スタジアムには平日夜にもかかわらず、4万9500人の大観衆が集結。想像以上の凄まじい熱気に包まれた。

 格上のフランクフルトは、前半の早い時間帯にフランス代表FWランダル・コロ・ミュアニが先制点をゲット。その後も主導権を握り、優位に試合を進めていた。

 キャプテンのセバスティアン・ローデとダブルボランチを組んだ鎌田は、引いた位置でボールをさばくなどセーフティなプレーがメイン。それもオリバー・グラスナー監督の指示だったようだ。
 
 その後、フランクフルトは守備陣のつなぎの部分でミスが出て、一時はカウンターから逆転を許してしまう。それでも前半終了間際にラファエル・ボレがゴールを決め、2-2で前半終了。試合の行方は後半へと持ち越された。

 そこで非凡な決定力を発揮したのが鎌田だ。迎えた62分、右サイドの崩しからボレが上げたクロスをコロ・ミュアニが落とし、ペナルティアーク付近にいた鎌田へ。背番号15は迷うことなく右足を一閃。豪快にネットを揺らした。これが勝ち越し弾となり、フランクフルトは最終的に4-2で勝利。首尾よく8強入りを決めた。

 鎌田自身も今季後半戦初ゴールに安堵した様子。ようやくエンジンがかかってきそうな印象だ。

「後半戦が始まったシャルケとフライブルクの時は、練習の日に熱があって参加できなかったりしたので、実は体調が良くなかったんです。しかも、ブンデスはほかの国と違って、ワールドカップが終わってからの休みがすごく長かった。夏と同じかそれ以上に休んで、準備期間が夏の半分しかなかったんで、感覚的な部分を取り戻すのは少し時間がかかるだろうなと思っていました」と、本人は不安を抱えた状態でのリスタートだったと明かす。

 グラスナー監督も前半戦のようなパフォーマンスができていないと感じたのか、この試合前に鎌田を呼んで話す機会を設けたという。

「『自分たちの6番のポジションはもともとそんなに前に上がる機会はない。ダイチも自分のやるべきことをやっていれば攻撃の結果はついてくる。今日はできるだけ後ろ目で状況を見ながら焦らずやってくれ』という感じの話がありましたね。

 でも、すぐに結果がついてきて良かった。チームも良くなってきているし、CLもあるので、ここからさらに上げていきたいです」と、鎌田はさらにコンディションを引き上げ、決定的な仕事が数多くできる状態に持っていく構えだ。
 

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