2023シーズンへ “リアル”南葛SCの森監督が説く「自分にベクトルを向ける」勝者のメンタリティー

2023年01月31日 伊藤 亮

南葛SC森監督インタビュー<後編>――「やり切る」を突き詰める

南葛SCで3シーズン目を迎える森監督。チームをJFLに引き上げるべく「やり切る」を突き詰める。写真:田中研治(サッカーダイジェストWeb写真部)

 南葛SCの森一哉監督の監督哲学、信念に「日常からしっかりとやり切る」というのがある。

 それは昨シーズンも継続してきたことだ。

 この点に関しては、結果が伴わなかったからといって変えるつもりはない。むしろやるべきは、よりこだわり、徹底すること。

 チームが上に上がっていくことに自分の経験を注ぎたいと考える指揮官のこだわり。その理由を探らせてもらった

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 南葛SCで3シーズン目を迎える森一哉監督は、自身の経験を「上を目指す」仕事に捧げたいと考えている。

「これから本当に上を目指してやっていきたいチームがあって、何かを作り上げていく。そのような仕事に携わりたいとは以前から考えていました。川崎フロンターレや名古屋グランパスといった既にJ1で歴史あるチームで指導者をやらせてもらいましたが、そこでやるのも一つではあります。でもこの歳になると、残された人生でどう時間を使うかというのはとても考えるところです。そして何に時間を使いたいかを考えたら、自分の経験も踏まえてチームの新たな歴史を進めていくことに時間を費やしたいと。といったところで本来、望み通りの立場に立つのは簡単ではありません。それなのに、南葛SCから監督の話をもらえたのはすごく恵まれたことだったと感じています」

 自身の選手としての経験、指導者としての経験、そして南葛SCで2シーズンを率いた経験を活かし、上に進みたい。その中で関東リーグ2部から1部へ昇格した際に奏功した「やり切る」心構えを説くことに関しては変わりない。ただ、より結果へ結びつけるために、さらに突き詰める必要がある。

 出てきたのは、いつ何時もやり切れるようになるため「自分にベクトルを向ける」ことだ。

「プレー環境や相手など、そういった"外"にベクトルを向けるのではなく、"内"=自分に向ける。もちろんプレー中は自分以外の面で様々な影響を受けます。ストレスがないなんてことはありえない。でも、そこはしょうがない、と割り切った方が僕はプラスだと思うので」

 これは、なにもサッカーに限った話ではない。

「なんでもそうだと思いますが、変えられるものと変えられないものってあるじゃないですか。自分が及ばない外のものを変えようとしても変わらない。でもそれを言い訳にせず、自分のことなら変えられる、と考える。すると、自分が変わることで外のものも変わってきます。であれば、自分にベクトルを向けた方が得ですよね」

 実生活の中でも、自分の思い通りにいかないことなんて日常茶飯事だ。その原因が外的要因にあることも少なくない。つい言い訳をしたくなるし、言い分が通る時もある。でも、だからといって結果が覆ることはない。結果を出さなければいけないのなら、外的要因によるリスクを自分が変わることで減らすよう努める。たしかにその通りかもしれない。ただ言葉では分かっていても、実践するとなるととても厳しい自律が求められる。だが、それが南葛SCの戦っている世界なのだ。
 

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