【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「熱狂的ファンの“リアル”な評価」

2015年11月04日 マルコ・パソット

指揮官はもはや「守備固め要員」、「時間稼ぎ要員」としか思っていない。

ゲーム終盤にチェルチとの交代でピッチへ。ここ4試合はこの光景がお馴染みになっている。(C)Getty Images

 本田圭佑とミランの物語は、今や疑問符ばかりが浮かぶ不思議な事象と化している。
 
 今の彼らの関係は? どうしてそうなったのか? そしてなにより、物語に続きはあるのか? クエスチョンに終わりはない。
 
 いま唯一たしかなのは、本田とミランの契約が2017年6月まであるということだけ。しかし、ヨーロッパサッカーを追っている方々ならばご存じだろう。契約を全うするまでクラブに残る選手は、近年ますます少なくなってきている。
 
 だから、これから数か月、どのように話が進展していくのかをまずは見守る必要がある。本田とミラン、双方が満足する解決策とは如何なるものか――。
 
 いま最大の問題は、本田は選手というよりほぼ"観客"になってしまっていることだ。そのうえ、誰もピッチで彼の不在を感じていない。
 
 本田がほぼベンチで過ごしているうちに、ミランは4試合で勝点10(3勝1分け)を積み上げた。11月1日のラツィオ戦(セリエA11節)で今シーズン初の3連勝を飾り、5位まで順位を上げている。
 
 当然、現在の選手起用に批判の声は一切ないし、いじる必要もない。スタメンとバックアッパーの差が、明確になりつつあるのだ。
 
 4試合連続で試合終盤に投入された本田の扱いに、疑問を唱える者も今やほぼ皆無だ。もはやシニシャ・ミハイロビッチ監督は、本田を「守備固め要員」、「時間稼ぎ要員」としか思っていない。
 
 この処遇については、例の爆弾発言への懲罰という声もある。しかし、実際は純粋にテクニカルな理由による選択だろう。
 
 右ウイングの定位置を争うアレッシオ・チェルチは目下絶好調。ミハイロビッチ監督は少しでも長く彼をピッチに留まらせたいのだ。

次ページウルトラスは本田のプロフェッショナリズムを評価する。

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