【カタールW杯|B組展望】本命イングランドは組織力に不安が…。アメリカ、ウェールズ、イランにも突破のチャンスは十分にある!

2022年10月25日 河治良幸

アメリカは4年後の自国開催に弾みをつけられるか

イングランドのキャプテンを務めるケイン。戦力的なポテンシャルを考えれば優勝も不可能ではない。(C)Getty Images

 11月20日に幕を開けるカタール・ワールドカップ。4年に一度の大舞台では、どんな戦いが繰り広げられるか。本稿ではグループごとに出場国の横顔を紹介し、決勝トーナメント進出に向けた争いを展望する。今回はBグループだ。

――◆――◆――

■イングランド
(7大会連続16回目の出場)

 戦力的なポテンシャルを考えれば優勝も不可能ではないが、チームの組織力を考えると、有力候補とは言い難い。6月にはネーションズリーグでハンガリーに屈辱的な0-4の惨敗を喫して、国内外から酷評された。

 直近6試合で勝利なしという状況も気になるが、大会前に評判が良くてうまく行った事例があまりないのは、強豪国の例に漏れない。

 システムや選手の配置はおおよそ固まってきており、ハリー・マグワイア(マンチェスター・U)、エリック・ダイアー(トッテナム)、ジョン・ストーンズ(マンチェスター・C)の3バックは計算できる。

 1トップのファーストチョイスが、キャプテンのハリー・ケイン(トッテナム)になるのは間違いない。2列目はフィル・フォデン(マンチェスター・C)とラヒーム・スターリング(チェルシー)が有力であるものの、開幕1週間前に中断となるプレミアリーグでのパフォーマンスやその時の調子で序列の変化は起こりうる。

 攻守のインテンシティがカギを握るが、絶対的な守護神がいない正GK争いにも注目だ。
 
■アメリカ
(2大会ぶり11回目の出場)

 9月シリーズでは日本に0-2で完敗し、続くサウジアラビア戦はスコアレスドロー。先行き不安な内容と結果に終わった。

 やはり、右サイドの主力であるティモシー・ウェア(リール)の不在、さらに大黒柱であるクリスティアン・プリシック(チェルシー)が怪我の問題を抱えていたのは、少なからずチームのパフォーマンスに影響したと考えられる。ただし、あくまで本番は11月なので、専門チームがしっかりと分析して臨むはずだ。

 欧州組は開幕の1週間前までリーグ戦がある。MLSに所属する選手たちで下地を作ったうえで、欧州組がカタールに合流してから一気に仕上げる流れになりそうだ。

 4バックだが、インサイドハーフの選手が1人落ちて、変形型の3バックで攻撃を組み立てることが多い。相手のプレスのかけ方に応じた設計で、うまく繋ぎながら高い位置に起点を作る。攻守のトランジションもハイレベルだ。自国開催の4年後に大きな弾みとなる大会にしたい。
 

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