【藤田俊哉の目】新戦力にもっと時間を与えないと、本当の姿は見えてこない

2015年10月14日 サッカーダイジェスト編集部

どこをどう比較しても、イランが一枚上手だと感じた。

人に強いイランに球際で対抗できず、香川のようなパスワークで活きる選手は目立った活躍ができなかった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

   先日のイラン戦は、おそらくハリルホジッチ体制になってもっとも大きな収穫を得たゲームじゃないかな。
 
 この試合で個人的に注目していたのは、FIFAランキングで日本を上回るイランとの差が果たしてどこにあるのか。その視点でゲームを追っていたけれど、それ以前の問題だったね。と言うのも、日本はどのポイントにおいても優位性を感じられなかった。
 
 セットプレーではどちらが優位だったか? 球際ではどうだったか? イランがずっとゲームを支配しているように見えたのは、僕だけではないはずだ。ポゼッション率もイランの54パーセントに対して日本は46パーセント。いずれにしても、どこをどう比較してもイランが一枚上手だと感じた。
 
 特にイランの対人プレーにおける強さは際立っていた。ゴール前で高さとパワーを活かして勝負に来ると、日本の最終ラインはギリギリの対応を迫られていた。CKやFKから得点を奪われていてもおかしくない展開だった。
 
 吉田がペナルティエリア内で相手FWを倒してPKを献上したけれど、あのシーンでも、トップスピードで仕掛けてきた選手に対応できなかった。相手のドリブル突破に体勢を崩されてしまったのが、あのような後追いによるアクシデント的なファウルにつながった。
 
 攻撃面に目を向けても、ガツガツと球際で強く当たられてボールを奪われるシーンが目立った。ハリルホジッチ監督が目指している"縦に速いサッカー"は、イランのように人に強いチームに対して、効果的な場面を作り出すことができなかった。
 
 スピードと足もとの技術で優位に立てなければ、日本は活路を見出しにくい。そもそも、サッカーの試合において球際で後手を踏んでいたら、グッドゲームにならないんだ。そうなってしまっては、パスワークで活きるタイプの選手はほとんど活躍できない。
 
 攻撃をリードすべき香川は、その代表格と言えるだろう。背番号10は本来の存在感を発揮できず、いつも以上に小さく見えた。頼みの本田もボールキープこそするもの、"違い"を生み出すようなプレーはほとんど見られなかった。武藤の同点ゴールをお膳立てしたピンポイントクロスは見事だったが、本来ならもっと活躍できるはず。奇しくも、ミランで試合に出られていない苦しい現状がそのまま反映されたようだった。

次ページ課題が浮き彫りになればなるほど、日本代表は強くなれる。

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