【U-18日本代表】豪州撃破の立役者は右SBの藤谷壮。突破口を開いた狙い通りの仕掛け

2015年10月07日 安藤隆人

硬さが目立った初戦の経験を活かし、存在感を放つ。

アグレッシブな仕掛けから先制点を演出した藤谷。グループ最大のライバルと目されたオーストラリア相手の勝利に大きく貢献した。写真:安藤隆人

 U-19アジア選手権予選に臨んだU-18日本代表が、まずは世界への第一関門を突破した。ラオス、フィリピン、オーストラリアと同組になった日本は、当初の予想通り、全勝同士でオーストラリアとの最終戦に臨むこととなった。
 
 日本よりも高さと強さがあるオーストラリアを相手に、キーポイントとなったのがサイドの崩しだった。前日練習においても、CBからの縦パスを前線が受けて、落としたボールをボランチからサイドに展開したり、トップからサイドに展開したりと、いかにスピードに乗ってサイドを切り崩すかのトレーニングを重点的に行なっていた。
 
「僕はスピードに自信があるので、予測と判断をしっかりとさせて、いいタイミングでオーバーラップを仕掛けてチャンスを作りたい」
 前日練習後、大一番のキーマンとも言える右SBの藤谷壮は、そう語っていた。
 
 初戦のラオス戦ではスタメン出場するも硬さが目立ち、スピードを活かした突破は影を潜め、クロスの精度も高くはなかった。まったくと言って良いほど初戦は持ち味を出せず、「次(に出る試合)こそは最初からしっかりと持ち味を出して、成長の糧にしたい」と、強い決意を持って、3戦目のオーストラリア戦に臨もうとしていた。
 
 初戦の苦い経験が活かされ、心と身体をしっかり整えられた藤谷は、この試合で大きな存在感を放った。立ち上がりから高いポジションを取り、右MFの堂安律と連係を取りながら、崩すタイミングを図っていた。
 
「引き分けでもいい試合だったので、まずは失点をしないことを考えた。なので、最初はクロスも『越えるクロス』を狙っていて、中途半端に上げたり、仕掛けて引っかかって、カウンターを食らうリスクを避けていた」
 
 立ち上がりは仕掛けたらクロスをファーに上げきる。もしくはむやみに仕掛けずに、パスを選択するなど、慎重なプレーを続けた藤谷だったが、相手に生まれる隙を狙っていた。
「相手の守備が引いて、時間が経っても前に出てこなかった。それに相手のSBの対応が悪いと思ったので、チャンスがあれば深いところまで仕掛けていこうと思った」
 
 日本の先制点は、虎視眈々とその機会を窺っていたこの右SBの仕掛けから生まれるのだ。

次ページ藤谷の仕掛けからイメージ通りの崩しで先制点を奪う。

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