【川崎】茫然自失のルヴァンカップ敗退。等々力での“悲劇”はなぜ起こったのか

2022年08月11日 本田健介(サッカーダイジェスト)

試合終了間際まで2点をリードするも

C大阪が喜びを爆発させる傍らでピッチに崩れた川崎の選手たち。最終盤に2失点し、まさかのルヴァンカップ敗退となった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァンカップ準々決勝・第2戦]川崎2-2C大阪/8月10日/等々力陸上競技場
※合計スコア3-3、アウェーゴールの差でC大阪が勝ち上がり

 C大阪の2点目が決まった瞬間、川崎の選手たちはピッチに崩れ落ちた。試合終了間際のラストプレーでの失点。センターサークルでボールを手にした主審は、VARの確認を経て試合終了のホイッスルを鳴り響かせた。ゆっくりと整列し、健闘を称え合い、ジョアン・シミッチや山根視来らはその場に立ち尽くす。

 2試合合計スコア3-3。初戦は敵地で1-1と引き分けたが、最終的にアウェーゴールの差でC大阪に上回られた。第2戦、ホームの等々力では90分まで2-0とリードして突破をほぼ決めかけたが、そこから6分間で連続失点して追いつかれたのだから、ショックは相当なものだろう。しかもACLと天皇杯はすでに敗退している川崎にとって3連覇を目指すリーグとともに、ルヴァンカップは獲りたいタイトル。その大会をまさかの形で敗退したのだから、茫然自失となるのも致し方ない。

 試合の入りは素晴らしかった。7分頃までは完全にC大阪を押し込み、ボールを失っても即時奪還で相手から自由を奪った。崩しの面で粗さが残り、ゴールを奪えなかったが、劇的な勝利をあげた3日前のリーグ戦、首位・横浜とのゲームで得た勢いを感じさせるパフォーマンスだった。

 ただし、その後は相手SBへの対応や、クロスへの寄せがルーズになる場面があり、徐々にC大阪にゴール近くでプレーされる時間も増えていく。特に気になったのがウイングのマルシーニョとインサイドハーフのチャナティップが組んだ左サイドだ。守備時のポジショニングが曖昧になるシーンが見られた。

「相手はクロスを狙っていたので、そこのクロスをフリーであげさせないために、もっとチームで選手を動かすなど、より改善する必要があったと思います」

 橘田健人がそう語ったように、気を付けていたはずのクロスを上げられ、キャプテンのCB谷口彰悟が声を荒げて周囲を叱咤激励するシーンが、いつも以上に多かったのも気になるポイントだった。
 それでも40分に奪った先制点は、川崎らしい崩しだった。相手ゴール近く、ペナルティエリアの外、右寄りで橘田が左斜め前のチャナティップに縦パスを入れると、チャナティップはダイレクトで後方のL・ダミアンへフリック。抜け出したL・ダミアンのシュートはGKの後ろにカバーに入ったDFにブロックされるも、こぼれ球をマルシーニョが詰めた。

 球際で負けない点や身体を張ることを求めながら、何より攻撃面に焦点を当てるチームのやり方を表現したような展開。マルシーニョやチャナティップを攻撃面で輝かせることで、彼らの良さをより引き出し、守備面でのマイナスを消す。鬼木達監督に試合後に谷口のジェスチャーを含めたディフェンスの出来を訊いても、こう答が返ってくる。

「攻めた後の戻りの部分であったり、プレッシャーに行った時のバランスが、ぐちゃぐちゃとなる部分が前半はありました。戻るべき場所に戻っていなかったり、セカンドボールを拾える位置に戻ってなかったり。ただ僕らは戻りたいわけではなくて、正しいポジションに立てるかどうか。そこのところが戻りすぎると相手の圧を受け入れてしまうので、そういうことではありません。

 ただバランスをもっと求めていくべきだったとも感じているのかもしれません。そのあたりは自分たちの攻めが上手くいかなかった時に起きていた現象だと思うので、もう一回、取り組まなくてはいけないと思います」

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