E-1で示したユニットの強み。“マリノス勢”をカタールでも有効活用するメリットはあるはずだ

2022年07月28日 河治良幸

町野のゴールは「マリノスで練習していた形」から生まれる

U-21代表で主力の藤田は、A代表初選出のE-1でも存在感を発揮。間違いなく評価を高めたひとりだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

[E-1選手権]日本3-0韓国/7月27日/豊田スタジアム

 ホーム開催のE-1の最終戦で、日本は韓国に3-0で勝利して優勝を飾った。

 大会を通じて3得点・2アシストの活躍でMVPを受賞した相馬勇紀をはじめ、セットプレーからの得点や粘り強い守備で勝利に貢献した佐々木翔、代表でも"領域展開"で目標だった3得点目を記録した町野修斗、キャプテンとしてチームをまとめながら、攻守にクオリティの高いプレーを見せた谷口彰悟など、森保一監督を良い意味で悩ませる、アピールに成功した選手は多い。

 しかし、やはりE-1の日本代表に歯車を与えたのは、7人の"マリノス勢"だ。それぞれが個性的な特長を持つが、J1の首位を走るチームで見せているユニット力を随所に発揮して、チームに安定感と躍動感の両面をもたらした。

 衝撃的な活躍を見せた20歳の藤田譲瑠チマは、韓国戦で絶妙な浮き球パスで相馬の先制点をアシストしたシーンについて、次のように振り返る。

「マリノスの選手がすごく関わっていた印象です。右で崩してからリュウ君(小池龍太)がボールを持って、トモキ君(岩田智輝)が同じラインに入ったことで、相手の守備が散漫になったところで、トモキ君がスルーをしてくれた。自分はフリーだったので、良い選択ができたのかなと思ってます」

 右ウイングの水沼宏太も含めて4人の関係を右寄りの"大車輪"としながら、左の相馬、前線の町野、右CBの谷口などが関わっていくことで、韓国のディフェンスに的を絞らせず、多くのチャンスを作り出した。
 
 町野のチーム3点目では、藤田の縦パスを西村拓真がワンタッチで右の小池に。その小池の折り返しを町野が押し込んだ。藤田は「右から崩して、マリノスでも同じようなタイミングで拓真君が空いて落ちてくるし、リュウ君もそのタイミングでサイドに張っている。マリノスで練習していた形ではあるし、試合でも出せている感じ」と振り返った。

 水沼と小池の縦ラインも右サイドから多くのチャンスを生み出したが、やはり2ボランチ(藤田と岩田)とトップ下(西村)の三角形が同じチームの選手というのは大きなアドバンテージだった。

 今回のE-1メンバーはキャプテンの谷口と、韓国戦を欠場した山根視来だけがA代表の常連で、ここ最近の招集経験がある選手もGKの大迫敬介や谷晃生など限られる。森保ジャパンのラージファミリーではあるものの、カタールに向けたサバイバルという基準では当落線上より、さらに後ろに位置していると言っていい。

 E-1でのアピールをきっかけに、上記の選手たちや"マリノス勢"がどうサバイバルに絡めるか注目されるが、そこで選考要素に加わってくるかもしれないのが、ワールドカップでもマリノスから複数の選手を招集するというプランだ。
 

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