「E-1経由カタール行き」は夢物語ではない!藤田譲瑠チマ、町野修斗、相馬勇紀を推す理由

2022年07月28日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

若手はわずか数か月で別人のように見違えるケースも

E-1選手権で藤田は攻守で可能性を示した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 日本代表が4大会ぶりの優勝を飾ったE-1選手権は、Jリーガーたちにとってカタール・ワールドカップのメンバー入りを懸けた文字通りの"ラストチャンス"だった。
 
 今大会は来たる新シーズンに向けた準備中の海外組、そしてW杯経験者の権田修一、長友佑都、酒井宏樹、大迫勇也らが選外。国内組のみ、しかも実に11人が初招集というフレッシュな顔触れで臨み、まずは7月19日に香港を6−0で撃破すると、24日こそ中国とスコアレスドローに終わったものの、27日には韓国から3−0の快勝を収めた。
 
 海外組と国内組の間には、クオリティーや経験値に大きな差があるのは事実。ただ、代表チームはいわば"生き物"であり、さらにW杯のようなメジャートーナメントでは勢いのある選手、または対戦相手を考慮して求められる選手が、土壇場でサプライズとして登録メンバー入りを勝ち取ったケースは古今東西で枚挙に暇がない。
 
 個人的にそんな目線を持って取材を続けてきた今大会。アジア最終予選で頼れる控えに成長した谷口彰悟と山根視来を除いても、「これはワンチャンあるのではないか」と思わせてくれたフレッシュな選手が3人いた。
 
 森保一監督は韓国戦後に、「選ぶかどうかは視察を重ね、選手の情報をさらに集めたい」と前向きしたうえで、「(E-1組で)W杯のメンバーとして候補に入る選手は何人もいた」と明言。最終選考の場となる9月のヨーロッパ遠征に連れていきたい選手もいると語っただけに、「E-1経由カタール行き」は夢物語ではないだろう。
 
 真っ先に推したいのが、U-21代表からの昇格でA代表初招集だったMFの藤田譲瑠チマだ。スタメン出場した香港戦と韓国戦で示したのは、攻守における貢献度の高さ。攻撃ではキープ力と柔軟なボール捌きでテンポを作り、韓国戦では見事なクロスでアシストを記録すれば、3点目の起点にもなった。
 
 その攻撃面よりも光っていたのが守備面だ。チェイシングが鋭く、読みからのパスカットも上手く、何よりも敵にグッと寄せてボール奪取してそのまま前に突き進む力強さは目を見張った。
 
 ドイツ、コスタリカ、スペインと同組に入ったW杯は、とりわけドイツやスペインとの試合でボールを握られ、守勢に回る展開になるだろう。森保ジャパンの中盤は、アンカーの遠藤航、インサイドハーフの田中碧と守田英正という3人が主力だが、彼らと同タイプの控えが実質不在。守備のインテンシティーが高く、アンカーとインサイドハーフの両方で機能する藤田は、その意味でも適材に見える。
 
 藤田はまだパスミスがあったり、ポジショニングが曖昧なシーンがあったり、まだまだ荒削りな印象は否めない。とはいえ、ミスからの切り替えが早く若手ながら周囲に積極的に指示を送るなどパーソナリティーは強い。しかも、20歳前後の若手はわずか数か月で別人のように見違えるケースがあるし、本人が「この大会をきっかけに自信はついた。Jリーグでもしっかり活躍したい」と貴重な経験を積んでいる。9月の欧州遠征で主力組と組ませてさらなる刺激を受ければ、大化けしてもなんら不思議はない。
 

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