「ファンに歓迎されていなくても…」なぜソシエダは久保建英の獲得にこだわるのか。加入した場合の起用法やライバルは? スペイン人記者に訊く【現地発】

2022年07月09日 ミケル・レカルデ

韓国代表イ・チョンスの獲得も主導

ソシエダの久保への興味は失われていないという。(C) Getty Images

 もう随分前からレアル・ソシエダの強化部門が作成する補強リストには、タケ・クボ(久保建英)の名前は赤で下線が引かれている。担当者は、バルセロナのカンテラでアンス・ファティとともに攻撃を牽引していた頃からその存在に注目していた。

 とりわけ熱心なのがフットボールディレクターのロベルト・オラベだ。オラベは優れた先見の明の持ち主で、アジア市場にも早い段階から着目していた。ラ・レアルがチャンピオンズ・リーグに初参戦した2003-04シーズンの夏に韓国代表イ・チョンスの獲得した時も、交渉を主導したのは彼だった。結果的にその賭けは失敗に終わったが、そんなオラベが2018年に復帰しからしばらくして、次なるターゲットに定めたのがタケだった。

 その本気度を伺わせるのが、今夏で獲得に動くのは3度目という事実だ。1度目の20年夏は、初動の遅れが響き、ビジャレアルとの争奪戦に敗れた。2度目の昨夏は、代理人との交渉は順調に進んでいたものの、古巣のマジョルカでプレーしたいというタケの強い希望を知るに至り、諦めざるを得なかった。そして今夏「3度目の正直」を信じて三度、獲得に動いている。

【動画】私服姿でマドリーの練習場に登場&メディカルチェックを受ける久保建英
 焦点となっているのは、契約形態だ。ラ・レアルが完全移籍を求めているのに対し、マドリーは手放す考えはない。ラ・レアルがここまで獲得にこだわるのは、イマノル・アルグアシル監督が志向するサッカーとの相性の良さも関係している。指揮官が、今夏、強化部門にリクエストしたのは、自身が採用する4-3-3と中盤をダイヤモンド型に構成する4-4-2にフィットするアタッカーだ。

 強化部門がタケを評価しているのも、連携プレー、突破力、思い切りの良さ、左足シュートに加え、右ウイングとトップ下に対応できる点だ。まず右ウイングであれば、得意とする中に切れ込むプレーで、サイドバックの攻め上がりを促し、攻撃にバリエーションをもたらせる。

 一方、4-4-2では、ダビド・シルバが務めるダイヤモンドの頂点であるトップ下にすっぽり収まる。バイタルエリア周辺を広く動き回りながら、前線と中盤をつなぐリンクマンの役割だ。さらに、セカンドトップとして2トップの一角でもプレーできる。
 

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