金田喜稔がアフガニスタン戦を斬る! 選手たちは称えたい。しかし日本代表の強化につながらない「大勝」だけにジレンマを抱いてしまう。

2015年09月09日 サッカーダイジェスト編集部

“自分が活きる動き+おとりになるプレー”で、原口はここ最近単調だった攻撃に変化を与えた。

持ち味のドリブルに加え、質の高いオフザボールの動きを見せた原口。日本の武器になる可能性を示した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 ほぼ1日をかけて日本からイランへと渡航した移動の疲労、時差、それに標高1200メートルという高地対策――私もこのスタジアムで試合をした経験があるが、1000メートルを越えるとどうしても息が上がってくるので、慣れるための準備が必要だ――など、まさにアジアの難しさが凝縮されたような厳しいコンディションのなかでの戦いだったと思う。

【PHOTOギャラリー】アフガニスタン 0-6 日本
 
 それにカンボジア戦で3点取ったとはいえ、最近の日本代表チームを覆っていたなんとも言えない暗い雰囲気を考えれば、大量6ゴールを奪って、無失点で終えられたという結果には、「おめでとう」と言いたい。良い勝利だったとは思う。
 
 それでも、この試合がチームの強化につながるかどうかと言えば、また別問題である。この点については後述したい。
 
 もちろん、もっとゴールを奪えていたはずだとも言える内容だったかもしれないが、映像からはなかなか感じ取れないコンディション面などを考慮すれば、贅沢なことは言えないだろう。
 
 なにより6ゴールの口火を香川が切ったことで、彼自身も、チームも、なにかが吹っ切れたようだった。密集地帯でのターンの上手さと鋭さ、そこからの思い切りの良いショットという特長を出して、しっかり結果に結び付けた。
 
 そして、そのゴールの起点となった原口は、日本の新しい武器にも成りうる――という可能性を示してくれた。
 
 これまでは短い出場時間しかもらえず、なかなか持ち味を出せずに苦しんできた。今回はハリルホジッチ体制下で左ウイングとして初先発し、持ち味のドリブル突破からまだ元気な8人がかりで固める相手守備陣を翻弄し、突破口を切り開いた。
 
 先制点の場面で、原口は中央へのカットインのドリブルからクサビのパスを香川にあずけ、そのままグッと前へフリーランニングしてマークを引き付けておとりになり、香川のシュートコースを空けた。
 
 そういったドリブルとフリーランニングを織り交ぜた"自分が活きる動き+おとりになるプレー"で、ここ最近単調だった日本の攻撃に変化を与えた。その「仕掛ける」という局面での積極的な姿勢があったからこそ、試合は動いたのだ。
 
 もちろん原口本人はゴールを奪えなかっただけに、十分アピールできたとは感じていないかもしれない。守備面では多少なりとも課題は感じられた。
 
 それでも、相手はその突破についていけず、かなり守りにくくしていた。チームに良い流れを呼び込むキッカケを作ったのは原口だった。
 

次ページ修正の意図は感じられたが、サイド攻撃のバリエーションの少なさは課題に挙げられる。

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