選手もフロントも一流の人材がいないバルサの“根深い闇”を番記者が明かす。「成功に溺れて学ぶことを止めた」【現地発】

2022年06月24日 エル・パイス紙

マドリーの行く手を阻むものはない

バルサの復権を目指すシャビ監督。だが、スタイルへのこだわりが時に足かせにも…。(C)Getty Images

 レアル・マドリーは加速が止まらず、バルセロナはエンジンがかからない。昨年3月にカンプ・ノウへの帰還を果たして以来、ジョアン・ラポルタが即興的に物事に対処しているのに対し、フロレンティーノ・ペレスは計画的に物事を進めている。

 バルサが多額の負債で身動きが取れなくなっているのは周知の通り。自慢のスタイルも、シャビがカタールから想像していたものとは見分けがつかない代物へと劣化し、むしろその運用にこだわることが足かせになっている。そんな中、ラポルタがひねり出したアイデアが資産を切り売りすること。16日に開かれた総会で、その資金調達案が承認された。

 今夏、マドリーはすでにオーレリアン・チュアメニとアントニオ・リュディガーの入団発表セレモニーを開き、キリアン・エムバペのことは忘れてしまったようだ。マドリーの行く手を阻むものはない。サンティアゴ・ベルナベウという未来への希望の光に照らされながら、当初は過度期と位置付けられていたシーズンでラ・リーガとチャンピオンズ・リーグのドブレーテ(2冠)を達成した。

 
 むろんクレにとっては士気を下げるには十分過ぎるほどの事態だ。敵地で宿敵を4-0で粉砕した3月のクラシコの記憶は取り除かれてしまった。いつものクレなら、自らの失態をライバルチームのせいにするところだろう。しかし今回は、負の遺産を放置していったジョゼップ・マリア・バルトメウ前執行部がやり玉に挙げられている。

 確かに事実上、破産状態にあるクラブを立て直すには、支出をカットし、財産を売却する以外に選択肢はないのかもしれない。もちろんその中には、フレンキー・デ・ヨングのような市場価値の高い選手も含まれる。

 ラポルタは、ソシオに信頼を求めることを止めない。そしてソシオはラポルタのメッセージを信じ、「イエス」を投じ続けている。リオネル・メッシの退団、フェラン・レベルテルCEOの逃亡、ラ・リーガ会長のハビエル・テバスとの対立、一部役員・保証人の失踪など、ラポルタ政権発足後、不可解な出来事が立て続けに起こっている。

 その過程の中で、重要なポストを身内で固める家族経営に舵が切られた。おまけに大手音楽ストリーミングサービススポルティファイ(Spotify)との契約内容も、ゴールドマン・サックスとの融資の条件もきちんと開示されていない。情報の機密性を理由に、経営の透明性が蔑ろにされている。

次ページ真のプロフェショナルが決定的に不足している。

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