【バイタルエリアの仕事人】Vol.17 パトリック|日本人とブラジル人で異なる“前への意識”。個々の判断と実践のススメ

2022年06月25日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

ハイボールの勝負は90%ぐらい勝つ自信がある

バイタルエリアでは“前への意識”を重視。それが相手にとって脅威を与えることになるからだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第17回は、ガンバ大阪のブラジル人FW、パトリックだ。

 前編では、今季への意気込みや攻撃面の手応え、ストライカーとしてゴール前で意識していることなどについて訊いた。後編では、来日10年目を迎えたブラジリアンが、日本人選手や日本サッカーについて、どんな印象を抱いているかを掘り下げていく。まずは、日本人とブラジル人のバイタルエリアにおける振る舞い方の違いについて語ってもらった。

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 あくまでも自分のイメージですが、日本人はバイタルエリアに入ってボールを受けた時に、前に勝負する回数が少ないのかな、とは感じています。前に行ける状況でも、ボールを下げたり、とか。

 バイタルエリアで、相手にとって怖いのは、前を向かれたり、ボールをさらにゴール前に運ばれることだと思います。自分はなるべく前を向くようにする、あるいはキープします。それが難しければ、後ろに下げるよりは、左右に散らすようにしています。
 
 僕たちのチームでも時々ありますが、バイタルエリアで受けた選手がボランチに下げて、僕が相手の背後に抜け出して勝負できる場面でも、ボランチの選手はもう一人のボランチにパスして、さらにサイドに展開してから、クロスが入ってくる。このケースで言えば、ブラジル人なら、最初にボランチがバックパスをもらって、ゴール前でFWがチャンスになりそうなら、前に直接パスするでしょう。そこの違いが少しあるような気がします。

 ブラジル代表のダニエウ・アウベスという選手がいますが、SBの彼はバイタルエリア付近でパスを受けると、視線はまずゴール前に向いています。CBが2枚いれば、遠いほうのCBの背後にボールを入れてきます。直接、得点につながるようなボールですね。

 そういう"前への意識"を、自分たちのチームでももっと高めていきたい。僕もチームメイトには要求するようにしています。ハイボールの勝負になれば、90パーセントぐらいは勝つ自信があります。リスクを負ってでも僕に入れてもらえれば、シュートを狙いますし、ポストになって味方に落とすオプションもあります。とにかく、できるだけ相手ゴール前にボールを運んで、得点の確率を上げていきたいです。
 

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