「誰かの後継者にはなれない」日本代表・柴崎岳が掲げる理想像とは?

2015年09月02日 五十嵐創(サッカーダイジェスト)

プロ1年目を終えて掴み始めた「ボールを奪う」感覚。

日本代表にも定着し、定位置を窺う柴崎。この9月シリーズでも活躍が期待される。(C) SOCCER DIGEST

 J1リーグ第2ステージでは首位・鹿島の原動力となり、ひと際眩い輝きを放っているのが柴崎岳だ。鹿島では押しも押されもせぬ主軸となり、日本代表にも定着。ワールドカップ・アジア2次予選のカンボジア戦(9月3日)、アフガニスタン戦(同8日)でも活躍が期待されるひとりだ。
 
 今や攻撃的なボランチとしてトップクラスの評価を受けるがこのMFは、それでも現状に満足しない。ストイックなまでに高みを求める野心家の理想像とは――。
 
【日本代表PHOTO】ワールドカップ2次予選に向けたメンバー23人
 
 日本の将来を担う人材として、最も期待されている選手のひとりが柴崎岳だろう。類稀なパスセンスと運動量を備え、時にゴール前に進出して得点まで決めてしまう。鹿島の石井忠新監督の初陣となった第2ステージ4節・FC東京戦では、1ゴール・1アシストで勝利に導き、続く5節の鳥栖戦では2ゴール。怪我から復帰した直後の2試合で圧倒的な存在感を示した。
 
 配球もできて、ゴールにも絡める。ブラジルで言うところの第2ボランチとして、理想的と言える選手――。今やそんなタレントに成長した柴崎だが、当然いくつかの壁はあった。
 
 例えば、プロ入りした11年当初は、ベンチ暮らしがメインだった。「ボランチは攻守両面で主導権を握ることが大事」。そう語っていた理想も、実現できたのは半分だけ。今以上に線が細く、守備での貢献は限られていた。
 
 しかし、半年もすると状況が変わる。ピッチ全体を把握する戦術眼や局面に顔を出す運動量、縦パスをインターセプトする読みといった資質を、次第に身に付けていったのである。
 
 とりわけ心を砕いたのは「ボールを奪う方法」で、その様子は当時の言葉からも窺い知れる。
「守備にもいろいろありますよね。ヘディングが強いとか、球際に強いとか、インターセプトが上手いとか。ただ、結果的にボールを奪えればなんでもいい。ボールを奪う方法はいくらでもあるし、それが多ければ守備は上手くなる。現時点での引き出しは多くはないですが、1年間やって来たので、こうなればボールを取れるなという感覚は身についてきました」
 
 課題を見つけ、自分に合った方法を探して克服する。柴崎は、その積み重ねで今の姿を築いてきたのだ。

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