【三浦泰年の情熱地泰】ブラジル相手に想定内の「0-1」。カタールW杯に向けて良い結果だったのか?

2022年06月08日 三浦泰年

想定通りの0-1は何を意味している?

ブラジルを相手に0-1とした日本。健闘したとはいえ、その牙城を崩すには至らず。写真:サッカーダイジェスト/JMPA代表撮影

 歴史の一頁になる2022年カタール・ワールドカップに向けての準備試合になった。

 2020東京オリンピックを機に新しくなった国立競技場で、ブラジルのベストメンバーが揃い、この好カードを確認したい歴史の目撃者、証人となる人たちが6万人以上集まった。

 そして、サッカー関係者でさえも手に入れづらいチケットをゲットしたサッカーファンたちが興奮する、素晴らしい試合になった。

 僕はチケットを頼まれた友人に譲り、テレビ観戦。ブラジルは、若かりし頃にサッカー留学をしてプロになるという夢を抱かせてくれた国だが、その代表チームのプレーを楽しみに観戦した。

 結果は0-1で敗れたが、日本は大健闘だったのか?

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 この1点の差が縮まらないという見方も出来るが、韓国を5-1で一蹴してやって来たブラジルに対し、どこか「0-1」という結果が日本代表にとって「悪い試合ではないのであろう?」と思わせる。

 この試合は日本が最初からブラジル代表をリスペクトし、いかに失点をしないで勝機を見出せる展開に持って行けるかが焦点であったが、それは0-0から始まり、互いの力の差、FIFAランキング1位と23位、今までの対戦成績、歴史的に勝った経験がないなど、様々な要素を考えれば、仕方ないことではあっただろう。

 だからブラジルとしては勝利してあたりまえ。5-0で勝てる可能性もあるが、1-0になってしまう可能性もあったのが、ブラジルが戦う前にイメージできる展開だったはずだ。だから、雨のアウェーの地での「1-0」は、ブラジル代表のプライドを保つことが出来たと言える結果であった。

 日本としては0-0の引き分け狙いの末に、運よく1点を取って勝つこともできたかもしれない。引き分けでも歴史的快挙にはなるだろう。

 たとえ0-1で負けても、敗戦としてはGOODな敗戦に思えると、試合前にイメージできる。結果、「0-1」の敗戦であった。

 この試合は上手く戦い戦術的にも狙い通りだったとしたら1-1にすることも出来ただろう。そういう意味では、正しい負け方、想定通りの0-1だったのかもしれない。逆説的に言うと、0-1で負けに行った。そんな内容と取られても仕方がない試合であった。

 さて、それが日本代表にとってカタール・ワールドカップに向けて良かったのであろうか?

 今回の試合で見えたのは、0-1で負けることは「出来る」。しかし、引き分けには「出来なかった」。つまり、勝利を目指せなかった(勝利には程遠い)という結果になってしまったということでもある。

 勘違いしていけないのは、実際には勝利を目指したのだが、一番普通の、ありがちな結果になってしまったということだ。
 

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