南野拓実のリバプール3年目は成功と言えるのか? 悔しさと嬉しさが入り混じる複雑なシーズンを振り返る【現地発】

2022年06月01日 田嶋コウスケ

プレミアリーグ全体の約3分の2は出番なし

2冠達成パレードでトロフィーを手に笑顔を見せる南野。FA杯とリーグ杯でともにチーム得点王に輝く活躍を見せた。(C)Getty Images

 南野拓実にとって、今シーズンは悔しさと嬉しさが入り混じる複雑な1年だった。

 所属先のリバプールはFAカップとリーグカップの2冠を達成した。日本代表FWはこの2大会でチーム得点王に輝き、タイトル獲得に大きく貢献した。今季公式戦の通算得点は10で、二桁の大台に乗せた。
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 しかしシーズン全体を振り返ると、世界最強と呼ばれるレギュラー陣の壁に苦しんだ1年でもあった。バックアッパーとして期待された仕事をきっちりこなしたが、FWの6番手として主力組には手が届かなった。

 カップ戦で定期的に出番を掴み、リーグカップでは初戦となった3回戦ノリッジ戦から先発出場して、3試合連続でゴールを決めた。特に準々決勝のレスター戦では、後半アディショナルタイム(90+5分)に値千金の同点ゴールを奪取。PK戦の末のレスター撃破の立役者となった。また、FAカップでも戴冠に大きな役割を果たした。同様に初戦の3回戦から先発を続け、5回戦ノリッジ戦では自身の2ゴールで2−1の勝利に貢献した。
 
 その一方、プレミアリーグではモハメド・サラー、サディオ・マネ、ルイス・ディアス、ロベルト・フィルミーノ、ディオゴ・ジョタといった豪華FW陣の後塵を拝し、先発は1試合のみで終わった。ベンチスタートで出番なし、もしくはベンチ外になった試合は、全体の約3分の2にあたる27試合に達した。

 プレミアリーグと比べて選手交代枠が「3」から「5」に広がるチャンピオンズ・リーグでは、決勝までの13試合中4試合に出場した。だが出番が与えられたのはすべてグループリーグで、決勝トーナメントに入ってからは一度もピッチに立たなかった。

 カップ戦でも悔しい思いをした。リーグカップの決勝はベンチスタートで出番がなく、FAカップでも決勝と準決勝でベンチ外となった。南野は両大会で出番を重ね、結果も残していただけに、ファイナルのピッチに立ちたい気持ちは相当強かったに違いない。だがユルゲン・クロップ監督は、絶対に勝利が必要な大一番で南野を起用しなかった。
 

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