原口元気が森保Jで生きる道。「試合に出てナンボ」の信念は変わらず。“点の取れる”インサイドハーフとして熾烈な競争を勝ち抜く覚悟

2022年05月30日 元川悦子

「僕はピッチ上での貢献にこだわりたい」

“ここ一番の勝負強さ”が魅力の原口。6月シリーズで目に見える結果を出して、インサイドハーフの序列を覆せるか。(C)Getty Images

「(カタール・ワールドカップに向けては)ポジションを奪うだけ。そこにトライしてやっていくつもりです。今、クラブでやっているプレーができれば、必ずチャンスはあると思います」

 日本代表が7大会連続ワールドカップ出場を決めた3月24日のオーストラリア戦直後、原口元気は並々ならぬ野心と闘争心を口にした。

 それもそのはず。2018年ロシアW杯ではグループステージのコロンビア戦とセネガル戦、ラウンド16のベルギー戦にスタメン出場し、ベルギー戦では値千金の先制弾を叩き出した男が、今回の最終予選10戦では先発2試合・途中出場7試合と、基本的にサブに位置づけられたのだから、納得いくわけがない。

 前述のオーストラリア戦では84分からピッチに立ち、三笘薫の先制弾の起点となるパスを出すなどキラリと光る働きも見せたが、先発した昨年9月のオマーン戦と3月のベトナム戦で、チームは未勝利。となれば、森保一監督の印象が大きく変わらないのも仕方ない。

 ベンチにいる間、彼は本田圭佑や槙野智章ら先輩たちから学んだチームの盛り上げに徹していた。が、「最近、『原口が献身的にやってる』みたいな記事を読みましたけど、美談にされたくない。僕はやっぱりピッチ上での貢献にこだわりたいし、それができると思ってるから日本代表にしがみついてる」と語気を強めるように、「試合に出てナンボ」という信念は変わっていない。

 固定化されつつある序列をいかにして覆すのか。原口はその最重要テーマに向かって突き進むしかないのである。
 
 ただ、本人はロシアW杯までの4年間と同じサイドアタッカーで勝負するつもりはないという。所属クラブのウニオン・ベルリンで務めているインサイドハーフの役割に自信を深めているからだ。確かに最近の原口はこの位置で躍動感を示し、攻守両面で強度とアグレッシブさを発揮している。今季ドイツ1部の得点数は2ゴールにとどまったものの、チームは5位でフィニッシュ。自分なりに手ごたえをつかんだ様子だ。

 けれども、日本代表のインサイドハーフは守田英正と田中碧がファーストチョイス。川崎時代から積み上げてきた2人の連係・連動はチームの軸になっている。そこに遠藤航が加わることで中盤に落ち着きが生まれ、安定感がもたらされている。彼らへの指揮官の信頼も絶大だ。

「彼ら3人は非常にバランスが良いと思います。だけど、僕が入った場合はボランチのようなプレーをするつもりはない。アタッカー気質というか、得点に加担していくところは見せたいですし、そこで違いを作っていけたらいい」と原口は強調。「ゴールを奪えるインサイドハーフ」として熾烈なサバイバルを勝ち抜く覚悟だ。
 

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