【セルジオ越後の天国と地獄】最下位を日程のせいにするのは甘えでしかない。監督の言いなりになるのも危険だよ

2015年08月21日 サッカーダイジェスト編集部

リーベルもドルトムントも結果を出しているけど?

最下位に終わった東アジアカップ。ハリルホジッチ監督はタイトなスケジュールについて不満があったようだけど、議論の的が日程だけに集中すれば本当の敗因を見落としてしまうよ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 先日、レッズのペトロヴィッチ監督がJリーグと日本代表のスケジュールについて私見を述べたそうだね。
 
 Jリーグの試合を終えて中3日で初戦に臨んだ東アジアカップの日程が、日本代表にとって厳しいものだったのは確かだけど、代表選手が帰国して2日後にリーグ戦に臨むのはJクラブにとっても厳しいもので、代表とクラブの双方が日程に不満を持っているなら、どちらかが妥協しなければならない、と。
 
 そして、こうした過密日程を解消するには東アジアカップの開催期間中もJリーグを中断せず、代表選手不在でリーグ戦を行なうことでミドルウィークの試合をなくすのも一案ではないか、その準備はできている、と。
 
 Jクラブの監督から、こうしたアイデアが出てくるのは大事なことだ。これは貴重な意見として、Jリーグの人たちは耳を傾けるべきだろう。
 
 ただ一方で、東アジアカップで最下位に終わったのは決して日程のせいばかりじゃない。議論の的を日程ばかりに集中していると、本当の敗因を見落としてしまうし、厳しい日程のなかでどう勝つかを追求するのも、日本サッカーが強くなるために重要なことだよ。
 
 例えば、8月12日に大阪で行なわれたスルガ銀行チャンピオンシップ。ガンバを3-0で下したアルゼンチンのリーベル・プレートは、5日にコパ・リベルタドーレスで南米王者に輝き、ドンチャン騒ぎでパレードまで行ない、そのうえで、ドイツを経由して前日に来日し、この暑い日本で質の高いプレーと決定力の高さを見せつけた。
 
 この試合を観戦した日本協会の大仁会長は「これを見せられると、日程は言い訳にならない」と語ったそうだけど、まさにそのとおり。これが世界の質の高さなんだ。
 
 7月7日にフロンターレと対戦したドルトムントもそう。親善試合で、選手全員を代えられたから、同じ土俵で語ることはできないけど、彼らはチームが始動して1週間ほどしか経っておらず、来日したのは試合前日で、当日にもイベントに出席していた。
 
 その影響か、ブンデスリーガで見せるような猛プレスや運動量は見られなかったけど、勝負どころのツボを押さえ、フロンターレに6-0で大勝した。コンディションが悪ければ悪いなりの、条件が厳しければ厳しいなりの戦い方があるんだ。それなのに、日程のせいにするのは甘えでしかないよ。

次ページ厳しい日程でも選手たちはJでタフにプレーした。

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