「なぜ日本なのか」セレソン対森保Jの強化試合にブラジル人記者が苦言! 国内紛糾の一戦が組まれた背景とは?【現地発】

2022年04月28日 リカルド・セティオン

ブラジルはほぼ4年間、欧州トップクラスの代表チームと戦っていない

日本とブラジルが対戦するのは2017年の11月以来となる。(C)Getty Images

 ブラジルと日本の強化試合が決定した。

 セレソンのチームコーディネーター、ジュニーニョ・パウリスタによれば、この一戦の話はカタールでの組み合わせ抽選会直後から持ち上がっていたという。

 日本はブラジルにとっては験のいい場所だ。この国で行なわれたトヨタカップでは多くのクラブチームが世界王者に輝いているし、なにより20年前の2002年、ブラジルは日本でワールドカップを勝ち取った。W杯の道のりをまた日本からスタートするのも悪くはないだろう。

 しかし、ブラジルは、この日本遠征を手放しで喜んではいられない。
 
 ブラジルは今回の南米予選を順調に突破した。世界でもトップ3の早さでカタール行きを決め、1試合を残しながら(未消化のアルゼンチン戦)、南米予選史上最高の勝点(45)を記録した。

 だが、忘れてはいけないのは南米には10か国しかないことだ。うち3チームがW杯の優勝経験国(ブラジルの他にアルゼンチンとウルグアイ)で、弱い国はないが、常に同じメンツとばかり戦っている。井の中の蛙である。UEFA加盟国が55もあるヨーロッパとのまるで状況が違う。

 コロナ禍もあって、ブラジルが南米以外のチームと試合をしたのは2019年11月の韓国戦が最後。ヨーロッパのチームとなると、2019年3月のチェコ戦、それ以前はロシアW杯まで遡る。

 つまり、ブラジルは2018年のW杯以降、ほぼ4年間、ヨーロッパのトップクラスの代表チームと戦っていないのだ。世界に出た時、自分たちの実力はどれくらいであるのか。ブラジルは早急に知る必要がある。そのためにも、本大会前にヨーロッパの強豪と腕試しをする必要がある。ただ6月はヨーロッパでネーションズリーグが行なわれるので、日程を調整するのがなかなか難しい。

 それならば、グループステージで対峙するカメルーンに似たアフリカ勢と対戦するのが本筋だ。代表チームが集まり、試合ができる回数は限られている。当然ながら、W杯を見据えて動くべきだ。それなのに、なぜ日本と韓国(正式発表はまだ)とのゲームを組んだのか。

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