恵まれた環境で自己研鑽に励む京都内定FW木村勇大。関西No.1ストライカーを育むウタカの“金言”

2022年04月25日 安藤隆人

「ウタカはめちゃくちゃ頭がいいんです」

木村(右)にとってウタカ(左)は最高の師でありライバル。京都の絶対的エースの存在は大きな刺激とモチベーションになっている。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)、安藤隆人

 来季、京都サンガF.C.入りが内定している関西学院大FW木村勇大。"関西ナンバーワン"の呼び声が高いストライカーは、4月16日の関西学生リーグ1部の第2節・大阪産業大戦でスタメン出場し、大学サッカーラストイヤーとなるリーグ戦のスタートを切った(開幕戦は延期)。

「もう4年生なので、今年はチームを引っ張る意識を持つようになりました」

 昨年に続き、2022年も京都の特別指定選手に登録されている木村は、今季すでにプロデビューを飾っている。J1リーグ開幕節の浦和レッズ戦で78分に投入されてトップの舞台を経験すると、続くルヴァンカップ開幕節の柏レイソル戦ではスタメン出場を果たし、8分にプロ初ゴールもマークをした。

 3月には関西選抜のエースとしてデンソーカップチャレンジ福島大会に出場し、チームの優勝に大きく貢献。大阪産業大戦では22分、味方のパスに抜け出すと、飛び出してきたGKを鮮やかな切り返しでかわして、カバーに入った選手の動きも視野に入れて、右足インステップで強烈なシュートをゴールに突き刺した(試合は1−1のドロー決着)。

「シュートの時はかなり冷静にプレーすることができました。(FW渡邊)颯太が追い越してくれてDFを引きつけてくれたので、逆に切り返すことで相手の意表を突くことができた。シュートもインサイドで丁寧に蹴ってしまうとカバーする選手に引っかかってしまうと思ったので、置きに行かないで振り抜きました」

 だが、表情は曇っていた。それは勝ち越し点を決められなかったことにある。

「ウタカだったら必ず決めていたシーンもあった。大学サッカーでは僕にマークが厳しくつきますが、そのなかでも決め切れるストライカーにならないといけないことは、ウタカが常に教えてくれていますので」
 
 木村の中には常に明確な基準がある。今、京都においてJ1トップの7ゴールを叩き出している絶対的なエースストライカー、ピーター・ウタカの姿は、常に木村の大きな刺激とモチベーションになっている。

「ウタカはめちゃくちゃ頭がいいんです。押し込んでいる時に普通のFWだったらディフェンスラインの手前でうろうろするのですが、ウタカはあえてディフェンスラインの裏のオフサイドポジションに入ったり、味方が出せる瞬間にだけ足もとに入るように動くなど、常に駆け引きをしているんです。

 もちろんフィジカルの強さや初速の速さなどもあるのですが、それ以上に経験がものを言っている。自分とボールと味方だけではなく、そこに相手を間に入れて考えている。ストライカーとしての思考が本当に凄いです」
 

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