「試合に集中しろ」ヴィニシウスが抱える“覚醒したからこそ”の課題。アンチェロッティ監督は改善を試みるが…【現地発】

2022年04月24日 エル・パイス紙

相手選手のこらえ性がなくなるにつれ、ヴィニシウス自身も短気に

先のクラシコではピケ(左)を口論するシーンもあったヴィニシウス(右)。(C)Getty Images

 スタープレーヤーは得てして対戦相手からの敵意を一身に受ける。レアル・マドリーのヴィニシウス・ジュニオールも例に漏れず、その覚醒が本物であると認識されるようになると、相手のファンのブーイング、相手選手の危険なファウルの対象になり続けた。

 しかしヴィニシウスはひるむどころか、主審に抗議し、相手選手を挑発し、相手のファンを嘲笑するかのような態度を見せてきた。

 ゴールやアシスト以外に、相手DFにとっての脅威度を示す指標がある。例えば「StatsBomb」はシュートに終わった、得点に繋がったアクションにおける2つ前のプレーを計測している。対象となるのは運ぶドリブル、パス、突破のドリブル、FKを獲得したプレーなどだ。いうなれば、アシストの前のアシスト、プレアシストだ。

 そしてヴィニシウスは、チャンピオンズ・リーグでシュートに終わったアクション部門で1位、得点に繋がったアクション部門でトップ(キリアン・エムバペ、ロベルト・レバンドフスキ、アントニー)と1個差の4位にランクされている。

【画像】「レッドだった」マジョルカ監督も認めたヴィニシウスヘのタックル
 ラ・リーガではその優位性はさらに顕著で、両部門でトップに立っている。ヴィニシウスの攻撃面の影響力、相手DFに与える脅威度が、シュートを撃つよりもっと前の段階で始まっていることを示す指標は他にもある。

 例えば、彼はラ・リーガで最も多くアタッキングサードまでボールを運び、ペナルティエリア内に侵入した選手であり、最も多くのドリブルを成功させた選手でもある。

 これだけ高頻度で危険なゾーンにボールを運んでいるわけだ。敵チームの警戒レベルが引き上がるのは自明の理だ。それでもヴィニシウスはあくまで1人でも多くのマークを引き付けることにこだわっている。

 相手選手のスタミナと我慢が限界に達するまでドリブル勝負を挑み続けている。そしてその結果が76というラ・リーグで3番目となるファウルを受けた数だ。さらにPK獲得数もここまで4本。これはフラメンゴ時代を含めた昨シーズンまでの合計数に匹敵する。

 しかし、問題は先述した通り、相手選手のこらえ性がなくなるにつれ、ヴィニシウス自身も短気になっていることだ。
 

次ページ相手の激しいプレーへの処方箋が見つかったわけではない

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事