「たとえカズさん目当てでも…」鈴鹿の選手に訊いたキングカズと共にプレーする意味とは?

2022年03月15日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

「奇跡に近いことだと感じている」

開幕戦で先発出場したカズ。4620人の大観衆がその一挙手一投足を見守った。写真:徳原隆元

 今季横浜FCから期限付き移籍でJFLの鈴鹿ポイントゲッターズに加入した"カズ"三浦知良が、JFL開幕戦となった3月13日のラインメール青森戦でスタメンに名を連ねた。65分までプレーし、チームは終盤に奪った2得点で白星発進。カズのJFL初陣を勝利で飾った。

 試合を決める強烈なミドルシュートを叩き込んだ菊島卓は言った。
「こんなにお客さんが入った中で試合をしたのは初めてです」
 
 会場となった四日市中央陸上競技場には4620人が詰め掛けた。もちろん、J1の公式戦などに比べれば、それほど多いわけではないが、昨季開幕戦が569人だったことを考えれば、どれだけ異例の事態だったかは容易に想像がつく。収容観客のキャパシティもさほど大きくはないスタジアムだけに、会場はほぼ満員に近い雰囲気となった。

 そうしたなかで菊島は鮮やかなゴールを決め、観客に向かってチームメイトとともに喜びを爆発させた。「初めて」という選手にとって、どれほど心震える瞬間だったかは想像に難くない。キャプテンの橋本晃司は「いろんなひとが見に来てくれるのは嬉しいですし、だからこそいいサッカーをしたいなって改めて思います」と語る。選手たちにもこの状況は間違いなく良い刺激となっている。

 もちろん、舞台をお膳立てしたのは"カズ"という存在だ。日本サッカーを牽引してきた特別な存在なしに、この日の"大観衆"はあり得なかっただろう。カズは「憧れ」であり、一緒にやれるのは「奇跡に近いことだと感じている」という橋本は、サッカー界のレジェンドを次のように見ている。

「僕は嬉しくもあり、憧れだったので、そんなに近くなってもいいものかという想いもありますけど(笑)、そこはいろんな巡り合わせもあって、こうやってチームメイトとしてサッカーが出来ている。本当にいろんなことを学べますし、カズさんの背中を見て育っている選手がいっぱいいると思うし、僕もその一人です。そんなカズさんと一緒のチームでやれるのはすごく幸せを感じます」

【三浦知良PHOTO】新たなステージに挑戦するキングカズ! JFL開幕戦でスタメン出場

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