「この試合に懸けていたのに…」菅原由勢、王者アヤックスで敗れ堂安律との決勝対決ならず落胆「拾ってくれたAZに恩返ししたかった」【現地発】

2022年03月04日 中田徹

「右サイドバックのほうが自分のプレーができる」

敗戦後はしばらく起き上がれなかった菅原。(C)Getty Images

 3月3日、アヤックスがAZを2−0で下し、KNVBカップ決勝戦進出を決めた。決勝戦は4月17日、ロッテルダムのスタディオン・フェイエノールトで、アヤックスとPSVの間で争われる。

 AZの右SB菅原由勢は悔しさのあまり、しばらくピッチの上に横たわり、珍しくファンへの試合後の挨拶も半周で切り上げ更衣室へ下がっていった。

「今日の試合に、僕は懸けていた」

 もしAZが準決勝に勝っていたら、堂安律のいるPSVとの対戦が実現していた。異国の地で、日本人選手が敵味方に分かれてカップ戦のファイナルを戦うことはめったにないこと。「だから、今日はなんとしても勝ちたかった。KNVBカップ決勝戦の雰囲気が素晴らしいことも知ってましたし」と唇をかんだ。

 アヤックスの底力も思い知らされた一戦だった。彼らは決して十八番の華麗なサッカーを披露したわけではなかった。しかし、チャンピオンズ・リーグの対ベンフィカ戦(2−2)、オランダリーグの対ゴー・アヘッド・イーグルス戦(1−2)と公式戦で2試合続けて勝利のないオランダ王者に、現地では「プチ・クライシス」という声もあがっていた。
 
「なにがなんでも、AZに勝たなければならない」という切羽詰まった気持ちで挑んだこの日のアヤックスは、2人のDFが攻撃参加して同点のカウンターを許したベンフィカ戦のようなスキを見せなかった。

 AZはリズムをつかめぬまま0−1のビハインドで前半を終え、ボールをつなげるようになった後半もチャンスらしいチャンスを作れぬまま、最後はアヤックスの電光石火のカウンターを浴びて万事休した。

「いつもどおりのチームのプレーではなかった。攻撃がどこを目指していくのかもそう。事前に準備していたことをやろうしていたが、勇気を持ってボールをつなぐことができなかった。相手の圧力に負けて、裏に裏に蹴ってしまっていた。今日は自分たちのサッカーができなかったことがすべてですね」

 強豪相手の試合で頻繁に採用する、菅原を右サイドハーフに置く戦術も、この日は効果なし。57分から本来の右SBに戻ってから、攻守ともに調子は上がっていった。

「僕が右サイドバックになってから、攻撃の流れもちょっと変わったと思う。リズムもすごくやりやすくなった。相手を守備でハメていきたいときに、僕を右サイドハーフとして使いたがる理由もわかる。でも、右サイドバックのほうが自分のプレーができるし、輝けると思います。自分の(最適な)ポジションが右サイドバックだということは、僕もチームもわかっているんですが、自分は与えられた役割で、ピッチの上で仕事をするしかない」

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