鹿島の“新10番”荒木遼太郎はすぐにでも欧州挑戦すべきか――。ベストなタイミングは?

2022年03月01日 河治良幸

移籍オファーが届いてもフルシーズンやり切るべき

鹿島“期待の若手”荒木は、すぐにでも海外挑戦すべきか、ベストな移籍のタイミングを考える。写真:徳原隆元

 昨シーズンはJ1リーグで10得点・7アシストを記録するなど、プロ2年目ながら圧倒的な存在感を放った鹿島アントラーズのMF荒木遼太郎。今後も活躍を続ければ、海外からオファーが届くのもそう遠くはないと思われるが、オファーがあればすぐにでも欧州へ発つのがベストな選択なのだろうか。国内外のサッカーに精通する河治良幸氏に見解を伺った。

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 結論から言うと、カタール・ワールドカップの時期を考えても鹿島の10番として、フルシーズンやり切るべき。

 若手選手の欧州移籍に絶対の正解は存在しない。個人差があることもそうだが、どんなに理にかなった形でも、相応のリスクは存在するからだ。その前提で荒木遼太郎の欧州移籍に関して、仮に具体的なオファーがあっても、Jリーグのシーズンオフまでは待つべきだと筆者は考える。

 確かに欧州のカレンダーは秋春制であり、向こうのオフに移籍できればチーム作りの立ち上げから参加できるメリットがある。戦術的なフィットだけでなく、欧州の環境に慣れるという意味で、冬より夏の移籍の方がアドバンテージがあるのは確かだ。

 ただ、荒木はアタッカーなので、ある程度出来上がったチームにオプションを加えるという形で、途中からチームに入っていきやすい。リーグやクラブを問わず、いきなり中心的な存在になるのは難しいが、オプションとして評価を上げながら環境に適応していく意味では冬の方が良いケースもあるだろう。

 そして、Jリーグで鹿島の中心としてフルシーズンやり切ることのメリットも大きい。確かに昨年の荒木は10得点・7アシストとブレイクしたが、それほどマークされない立場から結果を出して、次第に存在を高めていっての結果だった。「チームのエースナンバー」と荒木本人が自負する10番を背負う今シーズンは、正真正銘の中心として、厳しいマークをはね除けて結果を出していくことが求められる。

 鹿島はレネ・ヴァイラー監督に代わり、しかもコロナ禍で合流が遅れている状況で、2節の川崎フロンターレ戦などを見ても、新体制でいきなりのリーグ優勝はかなり難易度が高そうだ。それでも鹿島の中心選手としてさらに試合経験を積み、満を辞して欧州に羽ばたくのがベターではないか。
 

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