「イニエスタはバケモノ」槙野智章が語る新天地ヴィッセルの印象とタレント軍団の“ポテンシャル”「だから来たいと思った」

2022年02月16日 白井邦彦

「正直、やめようかなとも考えていたんですけど…」

新天地ヴィッセルでの意気込みを語ってくれた槙野。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 2月18日(金)にいよいよ2022シーズンのJリーグが開幕する。DAZNとスポーツメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」では、開幕に先駆け、J1各クラブの「注目の新戦力」にインタビューを実施。サッカーダイジェストWebは、浦和レッズを契約満了となり、ヴィッセル神戸に新天地を求めたDF槙野智章に話を訊いた。悲願のリーグタイトル獲得とアジア制覇の切り札として期待されるベテランの新シーズンに懸ける想いとは――。

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――1月17日のチーム始動から約1か月が経過しましたが、ヴィッセル神戸には慣れましたか?

「率直に楽しいですよ。知っているメンバーもいっぱいいますし。選手もそうですけど、スタッフの方々ともいい関係を築けていると思います」

――三浦淳寛監督は槙野選手について、すでにチームの中心になっているというお話もされていました。
 
「どうですかね(笑)。今までと変わらずに、積極的に声を出して雰囲気作りは心がけていますけれど。ロッカールームもそうですけど、みんなと楽しくはやっています」

――今回のインタビューでは個人とチームという観点に分けて話をうかがいたいと思います。まず個人から。昨年11月、10年在籍した浦和レッズから契約満了を聞かされた時はどんな心境だったのでしょうか?
 
「正直、つらかったですよ。受け入れることがあまりできなかったです。でも、時間とともに自分がやるべきことと今後どうしていかなくてはいけないかを整理し、1日、1日を過ごしていました」

【画像】神戸の2022シーズン予想フォーメーション!

――契約満了の話があった後、まだ天皇杯も残っていた中でモチベーションをどう維持していたのですか?

「まず一つは選手に悟られないようにやっていました。もちろん、自分の口からチームメイトには伝えましたけど、自分が契約満了を言われたことでチームに迷惑をかけたくはなかったですから。チームがその時に目標としていた天皇杯を優勝してアジア(AFCチャンピオンズリーグ)に返り咲きたいという思いがみんなの合言葉にもなっていましたので、自分が最後にやるべきことはその目標に対して自分の力を注ぎ込むことだと考え、ブレずにやり続けました」

――チームメイトにはどのタイミングで報告したのでしょうか?
 
「早い段階で伝えました。噂が回ってきて、みんなが聞いていいのか悪いのかという変な空気になるのがイヤだったので。だから、練習前に時間を設けてもらい、みんなの前で話しました」

――チームメイトの反応はいかがでしたか?

「その時、僕はもう泣いていたので、最初から何かあるのかなぁという雰囲気でした。みんなには、最後までピッチ内・外でサポートをしたいという話をしました。それからですかね、少し気持ちがスッキリしたというか、自分のやるべきことが明確になっていきました」

――そして移籍前の最後の試合となった天皇杯の決勝戦では、劇的な決勝ゴールでチームを優勝へ導きました。あのゴールの感想を教えてください。

「ん~、いろんな思いが詰まったゴールというか、試合だったと思いますし、出来すぎたストーリーだったのかなとも思います。契約満了と言われた後に自分がやらなくてはいけないこと、このクラブに対して最後にできることは何かと考えたら、天皇杯を取るために自分の力を落とし込むことでした。最後にああいうゴールを決めてタイトルとアジアに返り咲くということに貢献できたことは、僕の10年間の恩返しだと思っています。それを形にできたのはよかったと思います。

 ただ、一番うれしかったのは、クラブから契約満了と言われましたけど、浦和レッズの首脳陣の方々からはまだまだプレーを見たいとか、まだまだできるという言葉をかけていただいたこと。正直、やめようかなとも考えていたんですけど、首脳陣の方々から『苦しい決断をしたけれど、槙野のプレーをみたい、サッカーを続けている姿をみたい』と言っていただき、勇気をもらいましたし、やらなきゃいけないと背中を押してくれた気もします。苦しい決断を迫ってきたのも浦和レッズですが、自分が苦しい中を救ってくれたのも浦和レッズだったと思います」

【画像】2022 J1リーグ各チームの開幕予想布陣!

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